日本が抱える多くの国内問題において、長い間議論が重ねられ、いまだに解決しない課題に、沖縄の米軍基地問題があります。
沖縄の方々への負担は計り知れないものがあり、本土の人たちも沖縄の基地問題はどうにかならないものか、と頭を抱えています。

しかし沖縄県側の主張は、普天間にある米軍基地を辺野古沿岸に移設する、日米合意案を阻止する動きを強めています。
この行動はどのようなことを意味し、本当に移設が実現しなかった場合、どのようなことが起こるのか。
これまでの経緯と、今後の展望を一緒に考えていきましょう。

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まず、なぜ普天間にある米軍基地を辺野古に移設するのか。
修学旅行や観光で沖縄に訪問された方は、おわかりいただけると思いますが、普天間基地は住宅密集地のど真ん中にあります。
この言葉を聞いただけで想像がつくと思いますが、非常に危険な場所に基地が存在しています。
2004年米軍ヘリが墜落したように不慮の事故や、騒音問題が懸念されているのです。この沖縄の住民が抱える負担はとても大きなストレスになります。
生活に支障が出たり、子供やお年寄りを守る観点からも、普天間移設は沖縄県民の負担軽減には、的確かつ最良の選択と言っても良いでしょう。

また、1995年に起きた米兵による少女暴行事件など、沖縄の米軍基地に所属する米兵による犯罪や問題行動も多く、それが基地返還、米軍基地撤廃の動きに拍車をかけました。
そして同じく1995年に2プラス2(外務大臣、防衛大臣による安全保障に関わる閣僚級会合)が行われ、基地問題に対する委員会が設置されました。

移設先については、当初から沖縄県内の移設案が多数を占めていましたが、高知県などへの移設も検討されていました。
ではなぜ、沖縄県内に基地が密集するのか。それは国防の観点です。

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国家を預かる政府の役割として、国民に忘れ去られているのが国防についてです。特に日本人はこの部分についての認識が非常に甘いと思います。
私たちが普段、仕事をしたり、学校に行ったり、友達と遊んだり、恋人とデートをしたりする当たり前の日常は、平和な生活が前提にあります。
それを担っているのが国家、政府であって、それが安全保障というものです。
どのようにして日本という国を守り、どのように国民が平和で安全な生活を送っていける環境を作るか。安全保障の専門家(政治家、防衛官僚も含む)は常にそのことを考えているのです。
普段の何気ない生活はそこから繋がっているのです。だからこそ一人ひとりの国民が、国防への意識を高めていかなくてはならないのです。

沖縄に米軍基地が必要なのは国防の観点と言いましたが、過去にこのような出来事がありました。
それは台湾問題です。

台湾の民主化を進めた、李登輝が選出された総統直接選挙のタイミングで中国がミサイル発射実験をおこないました。
台湾をけん制するためです。1996年のことでした。これを機に台湾海峡を挟んで、アメリカと中国との間で緊張が高まりました。

さらに最近になり、日本の領土である尖閣諸島に、中国の政府系船舶が領海侵犯する事件が多発しています。民主党政権時には海上保安庁の巡視船と衝突する事件も記憶に新しいでしょう。

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一部の新聞、テレビなどの大手メディアは恐れ多くて書けないのでしょう。ここで真実を堂々と書きますが、沖縄に米軍基地が必要なのは、対中国の戦略として、必要不可欠だからです。それは侵略という意味での戦略ではなく、国防の観点からです。

中国は明らかに、日本を敵国とみなしています。
そして、沖縄や日本の左翼派に、中国の思想が紛れ込んでいるのは確実です。そのことに多くの日本人は気付いていません。
それが意思のない基地反対、安保法制反対論に結びついているのが日本の現状です。
中国政府は公式声明として発言ことはありませんが、10年後、20年後あるいはもっと先の未来には、日本を属国(台湾のような形)にするつもりです。

尖閣諸島への領海侵犯がその最たる例です。ロシアの北方領土や韓国の竹島に習い、尖閣も実効支配できると思っているのでしょう。
その証拠に南シナ海での埋め立て工事が話題になりました。

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誰のものでもない公海に、突然人工島が現れました。戦闘機が飛べる滑走路まで出来上がっています。
これが何を意味するのか。それは中国による海洋進出であり、将来的には沖縄にまで手を伸ばすつもりです。

そこで長年続くの基地問題。ここにも中国は介入しているでしょう。
沖縄の新聞社、テレビ、または基地反対の方々には気づいている方も、気づいていない方もいるでしょう。
今、沖縄から米軍基地がなくなれば中国は確実に軍事的な圧力を掛けてきます。ほぼ確実です。行動しない訳がありません。
琉球王国時代には、清・明からの冊封を受けた歴史もあり、中国側の関与が過去にあったことも持ち出す可能性もあります。

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このようなことを知らないまま、基地反対の声を挙げている若者も居ます。非常に心配です。安保法制反対の声と同じく、周りの声に流されています。
それは声を挙げて政府に訴えるということではありません。少しでも俯瞰して、広い視野で見れば、中国の脅威は目の前に迫っています。
日本人は言論の質をレベルアップしていかなければ、取り返しのつかない結末が待っています。

中国はロシアによるクリミア侵攻などの成功例も、頭にあるでしょう。いつまでも日本という国が平和だ、という思い込みは今日限りで捨てるべきです。
しかし、ただひとつ救いがあります。
沖縄県民も本土の国民も、目指しているゴールは同じなのです。

それは「平和」であり「戦争をしない」ことです。
保守派、左翼派も同じです。誰も戦争はしたくないし、平和な国家であり続けたいと願うのです。ゴールは同じです。
ではどのようにして、そのゴールを目指すのか。その意見の違いがあるのは当然です。
ただし、その議論は本当に日本の為を思っての議論なのか。そこが重要なのです。自分で学び、自分の確かな意見を持つことができるか。
それが、現代人にとって必要なことであり、国際基準の考え方なのではないでしょうか。


記事執筆・Mitsuteru,odo
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