国連安全保障理事会は、パリ同時テロから1週間となった20日、同テロを実行したイスラム過激派組織「イスラム国」によるテロ防止に向け、「あらゆる必要な措置」を国連加盟国に求める決議案を全会一致で採択した。
決議案はフランスが主導し、19日に提出した。パリ同時テロや10月末のロシア旅客機墜落などを「イスラム国」の犯行と明示した上で、「最も強い表現で明確に非難する」とした。
読売新聞 http://www.yomiuri.co.jp/world/20151121-OYT1T50097.html?from=ytop_ylist

決議にはアルカイダなど他の過激派も含まれている スプートニク
決議にはアルカイダなど他の過激派も含まれている スプートニク
 
ようやく国際社会が共通の声明を発表できたわけである。遅すぎた印象がある。パリでの多くの犠牲者が出て初めて危機感を持った印象があり、非常に憤りを覚える。当然ながらこのような社説を書く日本の新聞はない。

ISを放置した結果(もちろん空爆などはしていたが、本腰を入れていなかったという意味で)世界各国の安全保障を脅かす存在にまでなってしまったテロ組織を、どうすべきか。もはや壊滅作戦しかないのだろうか。
少なくとも、対話に応じない相手である。外交交渉で解決できない場合は、武力行使をする。この原則はこれまでの世界史を見れば当然の成り行きだ。

ロシアのスプートニクは次のように伝えている。

テロリストらがイラク・シリアの広い範囲に打ち立てた「安全地帯」を破壊するよう呼びかけた。

また決議は、国連加盟諸国に対し、イラク・シリアへの外国人の流入を防止し、テロリストへの資金の流れを止め、石油や文化財の売却益がテロリストに流れ込むのを止めるよう呼びかけている。タスが伝えた。


スプートニク http://jp.sputniknews.com/politics/20151121/1198681.html


ISへの攻撃を否定する理由は?


世論ではISへの空爆を支持しない層もいる。
その主な理由は
・ISへ空爆することにより、テロの対象とみなされて国内のテロ被害の危険性が増す
・緊張を高めるべきではなく、対話を重視すべき
・空爆を行なうことで、新たな難民が発生する



これらがISへの空爆を反対する理由だが、実に一方的な見解である。
まずISへの空爆が国内のテロを誘発するという論理は通用しない。なぜならISからすればイスラム原理主義(誤解の無いように補足するが原理主義でも穏健派は存在する)以外の宗教・思想は全て「十字軍」と見なして攻撃の対象となっているからだ。
空爆を行なっていないからといって、それが抑止力になるわけではないく、空想・願望にすぎない。

さらに、ISの本隊、つまりシリアやイラクで訓練を受けたテロリストがISなのではなく、国内でIS思想に感化された人間がその国内でテロを起こす可能性もあるわけだ。難民や観光客を装って潜伏し、国内で武器を調達し、爆発物を製造する実態がすでにあらゆる国で確認されている。

日本のお隣である韓国でも、爆発物を製造した疑いで過激派の外国人が逮捕されている。韓国国家情報院もその後の詳細は明らかにせず、日本のメディアも全くもってこのニュースを報じないが、これが現実である。

テロを防ぐには、直接テロリストを叩く以外に現在のところ、最善の手段は無い。残念ながらこれが現実だ。
そしてISと対話をするなど、できるはずがないとわかっていながらなぜそんなことを言うのか。論外である。
戦争反対、テロ反対、空爆反対と言っても仕方ないのである。まるで子供の論理である。現実に起こっていることを受け止め、最良の選択を行なわなければならないのだ。しかも早急に。

難民発生については議論の余地が残されているが、難民が発生したメカニズムをもう一度押さえて欲しい。
シリアに関してはまず、内戦勃発が全ての原因だ。シリア国民は、アサド政権と反体制派の武力衝突により普通の暮らしができなくなった。その混乱に乗じて、ISが侵攻してきた。一般のシリア国民は外国に逃げる以外に自分の命を守れない選択肢しかなかったのだ。つまり、難民問題の根本的な原因は「国内の秩序」にある。

空爆をすることで新たに難民が出る恐れはある。これは否定できない。
しかし、これは軽々しく扱う問題ではなく。「究極の選択」である。
つまり、 新たな難民を出すことと、テロで新たな死者を出すこと。どちらを優先すべきなのか。
論点はここなのだ。その点でいうと、国連が今回、ISへの決議案を「全会一致」で可決したことは、その答えではなかろうか?

全会一致でISへの抑止力を高める。そしてISを弱体化させることでシリアの安定化を図り、秩序ある政府国家を作り直す。その結果難民問題も解決する。世界各国はこのような決断をしたのだ。
ちなみにシリア和平協議も並行して行なわれている。ここに日本が参加していないのが残念なのだが。

それを知らずにただ「空爆は新たな難民を生む」
「ISを挑発するだけ」と言って対IS作戦を批判する方々は非常にナンセンスな発言をしていることに気付くべきだろう。それはパリ同時テロで悲しむフランス国民の怒りを生むことにつながるだろうし、日本を含む全世界がISへの攻撃を支持する中で、何も実態を理解せずに発言することは、自ら勉強不足だと言っているようなものだ。

国際社会が一致して、IS戦争に挑む。これがパリで犠牲になった方々や、これまでのテロ攻撃で犠牲になった方々への、思いを背負った国際社会の答えだ。
何度も言うが、IS戦争はこれまでの従来の戦争ではない。相手はIS。外交も対話も通じない。これを頭に入れて戦局を見守りたい。日本もいつどこで攻撃を受けるかわからない。覚悟はしておくべきだ。

最後にロシア軍のクルーが爆弾に「パリのため」と書いているニュースをお伝えする。

ロシア空軍のクルーが書いているようだ アラブ・エルサレム紙
ロシア空軍のクルーが書いているようだ アラブ・エルサレム紙

これはロシア国防相が流したとされているが、フランスとロシアの連帯が進んでいることを示したいと思われる。
恐らく日本のマスコミはこれを取り上げないだろう。世界がどのように動いているか、知ることができない現状をとても悲しく思います。


TERU

ぜひ投票とSNSへの拡散をお願いします。

人気ブログランキングへ
このエントリーをはてなブックマークに追加