相模原市児童相談所は22日、両親から虐待を受けて児相に通所していた男子中学生が自殺を図り、今年2月に死亡していたと明らかにした。生徒は虐待が続くため保護を求めていたが、児相は「切迫した緊急性がなく、家庭環境は改善の方向に向かっている」として、親の同意なしに強制的に引き離す職権での保護を見送っていた。

毎日新聞



正しい職権の行使が子どもを救う
新たな法整備も視野に


TOP虐待


今回も自殺を防ぐことはできなかったのでしょうか。
親からの虐待・暴力から逃れるために児童相談所に通所していた児童が、親戚の家で首を吊り、数日後に亡くなったことがわかりました。


この生徒は、暴力を振るわれ顔が腫れたまま学校に通い、それを虐待と疑った教師の通報で虐待の事実が発覚しました。
その後、深夜のコンビニへ「暴力を振るわれた」と逃げ込み、警察に保護を受けるなどして、児童相談所に通所するようになりました。
これは生徒自らが「逃げよう」と試み、自分の命が危険だと気付き、実際に行動を起こしている稀なケースではあります。


学校で虐待に気付いた教師も素晴らしい教師だと思います。
ただ、今回のケースでは児童相談所の対応に問題があったと考えられます。
生徒は「生きよう」と願い、親の虐待から勇気を振り絞って逃げて、助けを求めることができました。絶対に失うことのなかった命のはずです。

▽児童相談所は7回も面談をしていたことを公表しています。(NHK)
虐待NHK1


▽校長先生はそれなりの対応をしていたと考えられる(NHK)

虐待NHK2


▽児童相談所は保護の必要性はない、と判断した。(NHK)

虐待NHK3

 

児童相談所には子どもの問題に関する調査・相談、子どもを守るための一時保護を担当しています。
一時保護は児童相談所の職権の一つで、象徴的なものであります。
基本的に親の同意を得て、児童養護施設などで虐待を受け続ける可能性のある子どもを保護します。


▽虐待の処理件数は年々上昇。親の倫理観に問題があるのだろうか(厚生労働省)
虐待統計


しかし、親の同意を得るのは非常に困難な作業であり、多くの子どもが虐待親の呪縛から離れられない現実があるようです。
その結果、虐待がエスカレートしたり、時には自殺や虐待死を招くこともありました。
そのような事態を防ぐために、厚生労働省は「親の同意がなくても職権で積極的に保護せよ」との通知を出しています。

児童相談所運営指針の改正について:第5章 一時保護
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv-soudanjo-kai-honbun5.html


しかし、そのような通知だけでは徹底はされないでしょう。
児童相談所の職員も、親とのトラブルを避けようとしますし、その結果子どもへの危険が増してしまうリスクもあります。
そうなれば、もはや新たな道を模索するしか残された道はありません。


例えば警察の積極介入。虐待の疑いがある時点で、児童相談所が対応するのではなく、警察が摘発に乗り出す。
虐待を繰り返す親には、それが「悪いこと」であると気付いていません。もしくは「虐待ではない、子育てだ」と言い張ります。
しつけでの軽いビンタと、虐待で行なわれるような暴力は全く異なります。何が違うかと言えば、そこに愛があるかどうかです。


愛のない暴力とは、憎しみやストレス発散のための暴力。それはただちに傷害、暴行で摘発すべきです。
実際に虐待が行き過ぎて、死に至るケースや、今回のような自殺を招くことにつながっていくのです。
命が奪われる前に、国家として子ども達を守る体制を整えるべきです。

里親


さらに海外と比べて、ソーシャルワーカーと里親が不足しています。
これも国家として動かなければ、何もかわりません。
ソーシャルビジネスの拡大も急がれます。日本は自由主義にドップリ漬かり、お金や学歴、名誉の獲得にまい進してきました。
その結果、人と人との関係を疎かにし、それが格差や差別につながっていきました。


虐待は絶対に許されない行為です。虐待としつけの線引きが難しいという議論がありますが、そんなことはありません。
そこに愛があるかないかは、第三者が見ればわかります。他人の目は騙されることはありません。
愛情を持って、しつけや子育てをしている方々は今後も胸を張って、子育てに励めばいいのです。何も難しいことではありません。
しっかり子育てをしている方々からすれば、虐待をする親など、同じ人間に見えないはずですから。


いじめ自殺問題も虐待事件も同様ですが、国家が本気で動かなければ何も解決しないでしょう。
そして、極論になりますが、いじめと虐待を根絶させることは不可能です。
犯罪や戦争と同じで、抑止と摘発、そして逃げ道を作ることが大切なのです。
虐待やいじめが犯罪ではない、という認識がまだこの日本にはあります。
ここを正していくことが、最良の解決策に導いていくのではないでしょうか。


mitsuteru.O

執筆依頼などのお問い合わせや、ご質問は下記の連絡先までどうぞ。
また政治・国際情勢の情報交換も受け付けております。



人気ブログランキングへ
このエントリーをはてなブックマークに追加