4月の10日、11日にG7が広島で開催されるのに合わせ、11日にアメリカのケリー国務長官が広島の平和記念公園を訪れ、原爆死没者への献花も行う予定だ。ちなみにアメリカの現役閣僚として初めてのことだそうだ。


▽アメリカの現役閣僚で初めて献花を行う、ケリー国務長官
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戦後はいつまで戦後なのか?
戦後レジームからの脱却は可能なのか



このニュースは多くのことを考えさせられる。
第二次世界大戦という悲劇から70年。いまだに過去の問題に向き合っていかなければならない苦しみが日本国民にある。日本人なら全員背負っていく課題だ。


それは過去の戦争にどう向き合うか。平和とは何か。
いつまでが戦後なのか?さらには平和を維持するには何が必要なのか。


ケリー国務長官、つまりアメリカの現役閣僚が広島を訪問し、死爆者に献花をすることを我々日本人はどう受け止めればいいのだろうか。
喜ぶものでもない。または嫌気が差すものでもない。
静かに被爆者や戦争で犠牲になった方々へ、心の中でご報告するに留めておくべきなのか。本当に複雑な心境である。


▽広島平和記念公園 ここにケリー国務長官ならびにG7の閣僚も出席する
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街中で「戦争反対」と軽々しく叫んでいる者には、到底理解できないことだろう。
彼らはきっと「しっかり謝罪するべきだ」と主張するだろう。それは物事の本質を理解していない者の発言である。
戦争とはそんな簡単な問題ではない。戦争は始まったとたんに両国民の思考は停止し、終わらせることは本当に難しい。その一例が韓国と北朝鮮であり、シリア内戦だ。この両者は現在も戦争中であり、しかも同じ民族だ。
これを知っている若者はどれだけいるのだろう。


太平洋戦争勃発は日本がハワイ真珠湾攻撃を行い、開戦したことになっているが、アメリカが戦争に導いたという説もあるし、ましてや日本は自衛のためにやむを得ず先制攻撃をしたものと考えられている。
決して侵略ではなく、自衛のためと東南アジアの解放が目的だった。


日本がファシズムに走り、帝国化したとの見解はアメリカなどの戦勝国の理論であって、まさに「死人に口なし」である。それがそのまま国連という形で残り、日本はいまだに敵国として扱われている。
戦後レジームに囚われているのは日本だけでなく、世界中がまだ戦後処理問題に苦しんでいるのだ。


▽広島に投下された原子爆弾リトルボーイ 米戦略爆撃機B-29によって投下された
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▽原爆ドーム 広島市中区に位置する 投下時は広島県産業奨励館
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そしてアメリカは日本に原爆を投下することで、戦争を終わらせることができた。
アメリカの理論では原爆投下によって終戦を早めることができ、日本への上陸作戦を回避することができた結果、日本国民の新たな犠牲者を出さずに済んだと主張している。


しかし普通の日本人の感覚なら納得できない。
原爆という恐ろしい殺人兵器を世界で初めて使うことで、戦後の国際情勢で優位に立とうとしたアメリカの思惑が見え見えである、と考えるのが一般的だ。
それに刺激を受けたロシア・中国・ヨーロッパ各国が核拡散に拍車を架け、現在の危機的な国際情勢を作り出した。その責任はどこへ行ってしまったのか。


そして日本人もやってはならないことがある。
米大統領や国務長官などに謝罪を求めてはならない。
それは日本と韓国における慰安婦問題と同じ理論だからだ。


日本の場合、ありもしない軍による慰安婦の強制連行について謝罪を求められている。
朝日新聞の誤報から始まったそのデタラメを謝れと言われているのだから、全く理解できないが、慰安婦が存在したことは事実だ。それが戦争の悲惨さを物語る一例ではあるが、慰安婦はどこの国のどの軍隊にも存在した戦争の負の遺産である。


理論的に同じと言っているのは、「戦後」の視点だ。
日米関係は世界最強の強固な同盟関係だ。戦後70年間で日米の絆はもはや崩れることのない深さにまで結びついている。
なのに「原爆投下を謝罪しろ」という理論は絶対にやってはならない。


戦後、アメリカの支援もあり日本は民主主義国家のお手本の国になった。
確かに憲法や教育の面で、日本人の精神を骨抜きにされた問題は無視できない。今回は横に置いておく。
安全保障の面で考えてほしい。アメリカ軍が日本に駐留することで、中国やロシアの侵略を防いできたのではないか?


右派も左派もここはひとつ冷静になって静観してほしい。
この広島訪問はひとつの形として受け止めて、これを日米関係はどうあるべきかに結びつけるのはあまりにも酷である。同時にそれは戦没者への失礼な行為に当たる。


日本は韓国に慰安婦問題で謝罪は今後一切しない。
そうであるならばアメリカに原爆投下の謝罪は求めない。これが戦後レジームからの脱却につながるのではないか。いつまでも70年前に起こった出来事の争いごとをしている暇はない。
朝鮮半島危機、中国の軍拡、ISなどのテロ攻撃。課題は山積みなのに、未来志向の戦略的な議論が進まない国際情勢、および日本のメディア関係者には失望している。


今後はひとまず広島で行われるG7がテロ攻撃に遭わないように、警察・公安当局には全力で対応してもらうことと、G7で何が話し合われたか注視することが大事だ。


そして、ケリー国務長官の献花が静かに穏やかに行われることを祈ること。
これが日本人の美学ではないだろうか。


Mitsuteru.O


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