~この記事の要点~

・ロシアが北方領土に関する新たな動き
・安倍首相の訪露に水を刺す
・平和条約と北方領土はセットにするべきではない


▼北方領土の完全なる日本返還はありえるのか (外務省)
北方 外務省


おはようございます。
ロシアが北方領土に対する新たな動きを見せました。
日露関係に水を差す行為を簡単にやってしまうこの国と、日本はどう向き合うべきなのでしょうか。
今回取り上げるのはこちらのニュースです。


・ロシアのプーチン大統領は3日までに、極東地域の振興策として国民に土地を無償で分与する法案に署名し、同法は成立した。
・露政府は北方領土にも新法を適用する方針で、現地での人口増加などを通じ、ロシアによる北方四島の実効支配がいっそう強まるのは必至だ。
・6日には安倍晋三首相の非公式訪露が予定されており、日本政府の対応が注視される。


6日に安倍首相がロシアに訪問するタイミングでなぜこのような法案を成立させたのか。
安倍首相の顔に泥を塗る、我々日本人からすれば屈辱的なニュースです。
ロシア訪問の議題のなかには、当然北方領土のことも話しあわれるはずです。ロシアはこの法案成立をどう説明する気なのでしょうか。


ロシアとの関係改善は賭け?


日本はロシアとどう向き合うべきなのか。これは日本が抱える永遠の課題です。
否応にロシアと仲良くすればいいわけにはいきません。アメリカやヨーロッパと同じ価値観(民族や思想は違うが)を共有する日本はロシアとの関係に苦しんでいます。
外交ゲームにおいて、ロシアは非常に強硬な姿勢で、リーダーシップを発揮したがります。


シリアでは内戦に深く関与し、アサド政権維持のために、テロリスト掃討を名目に民間人や反体制派を空爆したりと、まさに「暴れん坊将軍」的なイメージです。
プーチンが大統領に再任してからは、より強硬になり、クリミア併合においてもまさに帝国主義の復活といわんばかりの姿勢でした。


日本国内において、同盟国アメリカとの関係はどうあるべきかと、たくさん議論されていますが、実はロシアとの関係についてあまり語られていないように思います。
ロシアはヨーロッパのイメージが強いのでしょうか?(実際にサッカーなどではヨーロッパの所属だが)
日本の隣国です。海がありますが、お隣さんの国なのです。


核兵器も保有して、強力な軍隊、どこにでも介入したがる外交方針、独裁的な首脳。まさに中国とこのロシアは隣国として脅威なる存在です。
簡単においそれと、平和条約や関係改善とまではいかないものです。戦前には不可侵条約も破棄されましたからね。(旧ソ連時代)


ここで日本人のネットでの反応を見てみましょう。


・領土問題と平和条約・経済協力は同じレベルで議論するべきです。
どちらかが先行して、ってか経済協力だけ先行してやっても、ロシアは恩も何も感じないでしょう。

・もし返還となったとき、少しでも高く売れるよう日本との交渉カードに使える。
ロシアの経済と国庫の状況が、相当悪くなって来ていると見るのが妥当かも。

・返還なんか期待してない 奪還すべし

・不謹慎かと思うが、北方領土の平和的な返還はもう無理だと思う。ロシアは信用できない。









真意がなかなか読めないロシアの外交


ロシアはシリアの内戦においても、時には驚くほどの行動に出たり、見えみえの嘘を付いたり、本当に予想しづらい外交をしてきます。
先日のシリア・アレッポの病院空爆で、国連安保理が非難決議を採択しましたが、おかしなことです。
安保理のメンバーであるロシアが空爆をしたのに、非難決議を採択...。このようなことを平気でしてきます。


▼ますます帝国主義化するプーチン大統領 (スプートニク)
プーチン スプートニク


プーチン大統領になって、北方領土問題がもしかすると進展するのでは?と期待されましたが、そんなこともありませんでした。
ロシア人東洋学者で歴史博士のアナトーリー・コーシキン氏 は次のようなことを語っています。
「歯舞、色丹は平和条約締結後に日本に渡すことはできるだろうが、示された諸島を渡すことで、領土問題は全て完全に解決済みとせねばならない」


さらにこのインタビューをしたスプートニク(ほぼロシアの機関紙といっても良い)にはこのような解説記事が。
「平和条約もないまま70年も暮らしたのだから、この先もなしでいけるだろう。そういえばあの戦争の一番の敵だったドイツとも平和条約はないままだが、ここ数十年、政治、貿易経済、文化などいろんな分野で両国の間、両国民の間の関係発展を図るにためにはこれは何の障害にもならなかった」


クレムリンはもはや、平和条約などまったく頭に無いのかもしれません。私は平和条約と北方領土はセットでなくていいと、思っています。
ロシアと平和条約を結ぶことは不可能かと。正直に申し上げて、信用ならないからです。
中国との衝突があったときに、ロシアはどちらに付く、あるいはどちらを擁護すると思いますか?そこに平和な関係など存在しません。


最後にプーチン大統領がクレムリンで語った最新のコメントをどうぞ。
「我々は活発な政治コンタクトを、しかもあらゆるレベルで維持している。多角的な対日対話の発展はロシアの最優敵外交課題のひとつだ。5月6日の安倍首相の訪問が互恵的かつそれぞれの国益を考慮した露日関係の拡大を促すものと期待している」


本当なのでしょうか...。


GWの帰省でお帰りの方が多いと思います。
事故無く帰られることを祈っています。


それからYoutubeでも動画配信を始めました。ぜひご覧ください。
 



古川 光輝



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