伊勢志摩サミットを控え、日本の全国各地では関係閣僚会合が実施されている。
そのなかで、昨日G7教育相会合が閉幕した。 

教育相


教育は基本的にその国家の責任において、自国独特の文化・宗教の違いもあるため、統一した教育方針というものは定めにくいものである。しかし、平等な教育機会の提供はそれぞれの国家の責任で確実に実行しなければならないし、識字率の低下や紛争などで教育を受けられない子どもに対して、先進国を中心とした国際社会は目標達成のために支援を続ければならない。

その教育相会合で、注目すべき合意が得られた。

 「社会的包摂」、「共通価値の尊重」の促進・貧困、若者の失業、難民・移民、暴力的な過激化・急進化等、世界が抱える課題への対応として、教育の力を通じた「社会的包摂」、「共通価値の尊重」の促進に教育が大きな貢献を果たしていく必要性を表明。
特に、人間の尊厳を損なうあらゆる暴力、差別を阻止し、共生社会を実現するため、共通価値(生命の尊重、自由、寛容、民主主義、多元的共存、人権の尊重等)に基づいて、教育を通じたシチズンシップの育成を約束。教育によって文化間の対話、相互理解の促進、道徳心の醸成の必要性を強調。

文部科学省・http://www.mext.go.jp/a_menu/G7/

この声明で重要なのは、今世界で広がる貧困や難民問題、暴力による支配を、教育の力で長期的に解決していこうということ。
教育の力とは、子ども達に命について考えさせ、世界共通の理念である、自由や人権の尊重を正しく教え、子供たちが将来過激思想や暴力的行為を行なわないようにするために、国際社会全体が取り組むことだ。

宗教の違いはあれど、世界平和や自由を重んじる精神は世界共通である。
西側のルールだという批判にはあたらないだろう。「そんなものは西側のルールだから意味が無い」と思っている方は、なぜ過激派テロリストが生まれたのかを考えて欲しい。

テロリストが生まれる背景には、様々な理由がある。欧米の執拗な中東介入によって欧米文化に反発する生粋の聖戦戦士(ジハーディスト)もいれば、社会への不満、格差で苦しむ者が政府転覆を狙って過激化することもある。さらに親や周りの人間がテロリストであったから、という理由もある。

つまり長期的なテロ対策として、過激思想を生み出す芽を摘み取ることが重要だ。それが教育にあたる。
その意味での国際教育は非常に重要であり、1974年の国際教育勧告(国連発表)では「国際理解、国際協力、及び国際平和のための教育、ならびに人権と基本的自由についての教育に関する勧告」としてすでに40年以上まえからこの理念は存在していた。

ある意味で現代社会の暴力的価値観を生んだ背景は、教育の失敗であるといえる。
子どもに均等な教育機会を与えることは正直に申し上げて非常に難しい。各国の治安や教育姿勢にも左右されるため、困難な作業であることは間違いない。

今回G7の枠組みで画期的な教育指針を採択したのだが、上記のように国連では以前から教育の重要性を説いている。そのなかで「国連アカデミック・インパクト」というものがある。

これは人権、識字、持続可能性、紛争解決などの領域で受け入れられた原則と、各国の高等教育機関とを結ぶイニシアチブである。
やはりそのなかにも、「ジェンダー、人種、宗教、民族を問わずすべての人々のための教育の機会の確保」「教育による平和と紛争解決への貢献」「教育による貧困問題への対処」などが盛り込まれている。

世界ではテロへの脅威が叫ばれているが、確実で効果的な対策はまだ見つかっていない。現時点で試験的な要素が含まれており、今その時代の中で我々は生きている。人間の力を持ってすれば、解決に導くであろうと思うが、かなりの難問であることは間違いない。テロに関わらず、各国の利害に基づく代理戦争となるなかで、全世界がバラバラの理念を露呈してしまっている現状である。そのなかで日本が中心となって、今回のような意味のある教育相会合が開かれたことは誇りに思う。

来年もイタリアで開かれるようなので、それまでにどこまで推進できるか、見守りたいところである。


Mitsuteru.O

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