日本は中東支援のために7800億円の支援を約束したが、金銭だけの支援はもう時代遅れだと思う。
難民支援と感染症対策として多くの支出を決めたが、これは国際社会に対する日本の責任であるかといえばそうではないと考える。日本が掲げる平和主義、民主主義のシステムを中東に輸出するべきなのではないだろうか。

難民問題はシリアの元凶、アサド氏によってもたらされた災難であり、大量破壊兵器や化学兵器を使用したこの独裁者によって難民は生まれ、ヨーロッパ各国にその難民が溢れ出したのは説明不要の事実だ。
日本は直接軍事介入をする余地もないし、する必要も無い。
中東への軍事介入が日本の国益につながるわけでもない。例えばアメリカ、ロシアは中東地域への影響力というとても曖昧な表現で解説されるが、日本が中東に影響力を持つ必要は無い。

無償の支援を日本が世界にアピールできたらそれは素晴らしいことである。
ただ、問題なのは中東地域に民主主義が根付くかどうか。チュニジアやイスラム教徒がほとんどを占めるパキスタンでは民主主義の色合いが強く、政治の統治がしっかりしている。
しかし、リビアやエジプトなどで見られた民主化運動、「アラブの春」の失敗で、中東に民主化は根付かないのでは?という疑問が生じた。だが民主主義は失敗を重ねて成熟していくものだ。選んだ政権が失敗続きなら、選挙でまた選び直せばいい。

独裁政権が崩壊するたびに内戦になるような世界jにはもううんざりである。冷戦の終結で民主主義の勝利という認識が広がったが、民主主義自体、まだ成熟しきれていないのである。ということは中東に民主主義を持ち込んでも問題ない。しかし、イスラムの教義であるコーランには政治や社会はこうあるべきだと定めているため、原理主義者からすれば民主主義はどうなのか、という思いもあるだろう。この場合、政教分離については時間を掛けて議論しなければならない。

アラブの春の失敗の顛末がシリア内戦なのだが、いくら民主主義が根付かないとはいえ、アサドのような悪魔をそのままにしていいわけがない。国際社会は本当に甘すぎると思う。アサドの悪行で、どれだけの人が命を落としただろうか。
ロシアの意向がシリア内戦の主導権を握っているのは常識だが、プーチンはこの犯罪者を最終的にどう料理するつもりなのだろうか。腹の中はわからないが、アサドの延命はあと何年持つか、と私は思っている。

中東の混乱についてはシリア内戦の終結、アサド抜きの新政府樹立、ISや他のテロリストの壊滅で、一旦は落ち着くだろう。そのために国際社会、特に米露はこのプログラムを徹底して貫いて欲しい。
または、先にテロリストの壊滅を進めていくか。だがシリアからISを追い出したとしても、イエメンやリビアでしぶとく生き残る可能性は否定できない。

再三、このブログで私は提言しているので、くどいようだが、日本は民主主義のプロセスを輸出すべきである。
日本が持つ官僚機構のモデルは強力である。(良くも悪くも)政治家に関しては、地位も名誉も、お金も命も捨てて国政に取り組む議員は少ないが、官僚組織と法整備に関する仕組みは世界に通用するものだと思う。
新政府樹立のタイミングの前後で、日本は中心となってシリアに協力すべきである。
お金を出していれば良い、というかつての湾岸戦争時のようなみっともない姿を国際社会に見せてはならない。
世界に誇れる日本として胸を張れる政策と国際貢献をすべきである。それが平和を享受している日本の責任であると思う。


Mitsuteru.O

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国際基準の言論サイト「JAPAN IN THE WORLD」
 
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