1日夜に起こったバングラデシュのテロ攻撃は日本人が改めてISのテロ攻撃の対象であることを再確認した。
現在、各マスコミで展開される報道については、「なにを今さら」といった感じである。


▼ついに東南アジアでも大規模なテロが起きてしまった
救出された人
 
バングラ軍TOP

バングラ軍
 
 
ISが日本人を敵視していることは世界の共通認識であり、日本のマスコミはそれを知りながら日本が歩む道を提言せず、世界各地で行われるテロ事件に関心を示さず、日本人が被害に初めて遭ったタイミングでパニック報道を展開している。普段から問題提起と正しい予測ができていれば、日本独自の解決策も見えてくるだろうに。


日本人はテロとどう立ち向かうべきか


 今回のテロ事件で私たちが感じるべきポイントは、「当事者意識」である。
日本人がISから標的にされていること、そしてなぜ標的になっているのか。世代に関係なくそれを理解することが現代に生きる我々にとって大事なことである。
そして何よりも犠牲になった方々のことである。自分の家族、友人、愛する人がテロ攻撃の犠牲に遭ったらどう感じるか。
我々と同じ日本人が被害に遭ったことは、それと共通する。一部の過激派組織が何も罪の無い日本人を殺害した。同じ日本人として強い憤りを感じる。


 安倍首相は記者会見で「許し難いテロであり、強い憤りを覚えます。少しでも早くご家族の皆様が現地に行くことができるように、政府専用機を用意を致しまして、対応していきたいと思います」(産経ニュース)
と発言した。当然の認識だろう。
一方、民主党の岡田代表は「内閣の危機管理に対する正常な感覚が失われているということがはっきり出た」と今回のテロ事件を当たり前のように政治利用した。
「危機管理の感覚が失われている?」よくそんなものが言えたものである。と思わず笑いが出てしまう。
原発事故の対応や、尖閣諸島への中国による領海侵犯の既成事実を招いたのは民主党政権ではなかったのか?
尖閣や石垣島への中国軍艦の航行に危機感を感じない政党に、今回のような発言をする資格は無いだろう。


 日本人が確実に認識しておかなければならないことは、「時代は変わった」ということ。
戦争の形も、テロの手法も変わった。故にいつどこで被害に遭うかは予測できない時代になった。
「実行犯らは、世論の怒りの感情をも考慮に入れて行動を起こしているという。宣伝効果を最大限に高めることを目的に、標的の場所や時間帯、攻撃の方法を決めている」(AFP)
と解説しているが、まさにその通りであり、その攻撃が国際情勢にどのような影響を与えるか、そこまで考えてテロを実行している。
また、ホームグロウンテロに代表されるように、当局の捜査も困難を極めている。(参考記事・「外国人戦闘員の帰還とホームグロウンテロの危険性」


 AFPのこの記事の中に、専門家の一人のコメントとして、「機能不全に陥った国家、そして民主主義の欠如が、テロ行為を助長している」とあるが、これには疑問を呈する。
民主主義の欠落を意味するものは、例えば格差の拡大や、移民・難民問題、政府の権力拡大などから現れる批判的な思想に値すると思うが、そのような国家が優先されてテロ攻撃の対象になる可能性はあるものの、ベルギーやフランス、そして日本のような「成熟した民主主義国家」が攻撃に遭う理由にはならない。
したがって、民主主義の欠落よりも、欧米文化やイスラム教徒以外の人種を無差別に狙っているに過ぎないのである。


 参考までだが、今になって次のような記事を見ることが不思議で仕方ない。「日本人も『対テロ戦』の当事者とみなされている」(朝日新聞デジタル)
日本がアメリカとの同盟国であり、中東への経済支援、テロ抑止支援を積極的に参加していることを暗に批判しているのだろうが、これも私からすれば間違いであり、ISからすれば「純粋なイスラム教徒以外」は全て攻撃対象なのだ。だからこそ、世界はISを壊滅するしかないのである。


バングラデシュでの悲劇をどう見るか


バングラ地図


 東アジア、インド地方に位置するこの地でなぜテロが起こったのか。
バングラデシュでは以前から活動するイスラム過激派組織「ジャマートゥル・ムジャヒディン・バングラデシュ(JMB)」という組織が存在する。
しかしバングラデシュの内相は今回のテロはISとの関連はないと主張している。一方のISは犯行声明を発表し、「ISのバングラデシュ支部の犯行」としている。
情報が錯綜していて、どの情報が正しいかは残念ながら現時点で判断できない。


 ホームグロウンテロの可能性も残る。ただ今回の犯行メンバーの実態を見ると、過去に過激思想による犯行で逮捕されたり、要注意人物に指定された人物であることが発表されていることから、やはり潜在的なテロリストであったことは否めない。また犯行の半年前から行方不明になっていたことを考えるとISとの接触もあり得る。組織的な犯行であると私は考える。
ただ、ISはラマダンに入ってから積極的なテロ攻撃を繰り返しているが、どのような連絡手段を取っているのだろうか。CIAなどのような各国の情報機関が通信傍受をしている以上、電話やメールの連絡手段はまずありえない。非常に難しい問題である。


 日本の警察庁もさすがに動くようである。
「事件に巻き込まれた日本人の居住地や勤務先を管轄する警視庁と埼玉、千葉、神奈川県警に合同捜査本部を設置するよう指示した。同日中に合同捜査本部を立ち上げる。国外犯規定を適用し、殺人か人質強要処罰法違反などの疑いを視野に捜査する」(ロイター)
外国の捜査機関が外国で治安維持や軍事作戦を敢行するには、その国の許可を得る必要がある。なぜならその国家の主権が存在するからである。
今回のテロ攻撃の犠牲者は、バングラデシュのインフラ事業などを担う、まさに国際貢献に徹する方々である。非常に無念である。その意思も背負って、政府や当局は動いてほしい。


 バングラデシュのハシナ首相 は、「イスラム教は平和の宗教。イスラムの名の下に人を殺す行為をやめろ。我々の神聖な宗教をおとしめるな」(CNN)
まさに正論である。イスラム教は本来平和を願う宗教である。正しく理解している方々にはよくわかるだろう。


 日本人が7人殺害された事実。これをどう受けとめるべきなのか。
日本のテレビ局は今日もいつもと変わりない番組構成である。何の罪の無い方々が複数人殺害されても、社会は普通に回り続ける。
世界でテロが起こる事実を、私たちは目をそらしてはならない。それらは日本にも大きな影響を与えている、その事実を正しく認識し、受け入れなければならない。
犠牲になった方々の無念を想い、ご冥福を祈りたい。ご遺族の方にはもはや掛けるべき言葉も見当たらない。無念の気持ちである。お悔やみ申し上げる。


Mitsuteru.O

若者向け政治・国際マガジン
「JAPAN IN THE WORLD」

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