北朝鮮が5回目の核実験を強行してから数日が経ち、国際社会は緊張に包まれた雰囲気から少し落ち着きを取り戻したように見える。北朝鮮は国際社会からの非難と監視の目など一切気にすることなく、今後も核実験やミサイル発射を繰り返すだろう。その大きな理由のひとつに、もはや制裁が北朝鮮の自制を促すカードとして機能していない点である。


  経済制裁を繰り返し放った国際社会は、制裁そのものが今現在も効力を発揮すると従来から考えられてきたロシアがクリミアを侵攻した際に米国中心となって発動した制裁は、絶大な効果をもたらし、クリミアは現在もロシア側が支配しているが、シリア内戦などでロシアの行動に歯止めを掛けることに成功している。

  制裁は対象国家に対して圧力を掛け、自制を促すものであると同時に、次のステップに向かっていかに優位に外交ゲームを運んでいけるかが焦点となる。ロシアに関して言及すれば、シリア国内に大規模な空爆を実行して一般市民や反体制派を攻撃した行動を改めて、米国ら有志連合とのテロとの戦いの協力を促し、ロシアは現在では対テロ戦争の矢面に立っている。こうした長いスパンで考えられたの制裁の発動は非常に意味のあるものである。

  しかし北朝鮮は繰り返される制裁をもろともせず、挑発行為を繰り返し、さらにエスカレートした行動を取っている。なぜ制裁が発動されているにも拘らず、ミサイル実験や核実験を定期的に複数回に渡って実行できるのだろうか。

  それは中露による経済支援が行われているからである。数日前のコラムにも書いたが、これだけ強力な制裁を受けたにもかかわらず、以前にも増して挑発行為を繰り返すことができる理由は他国の支援があるからである。世の中には決して表にでることのない、国家間の取引が必ず存在するのである。

  5回目の核実験が行われてから国際社会は、国連安保理での非難決議を採択し、あらゆる枠組みで制裁を強化していく流れとなっている。日本も独自制裁を検討しており、日米韓の高官は慌ただしく連日協議を行っている。

  しかし指摘しておきたい。制裁は無意味である。新たに制裁を追加したところで北朝鮮は自制しない。韓国軍が新たに発表したように、新たな核実験が行われる可能性が非常に高い。もし北朝鮮が実験ではなくて、弾道ミサイルに核弾頭を搭載し、日本や米国に発射したらどうなるのだろうか。

  そのような日が来る可能性は十分に高まっている。そのXデーがきたとき、国際社会は胸を張って「やることはやった」と言えるだろうか。やはり先制攻撃も含めて軍事的圧力も視野に検討すべきではないだろうか。国連を重視するのであれば、国連決議を堂々と破る北朝鮮に対して東アジア平和防衛のシステムを構築すべきである。

(この記事は編集長のコラムです。本記事ではありません。)


古川 光輝 
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政治フリーペーパー「JAPAN IN THE WORLD」 
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