何とも惨めな姿であろうか。これが責任にある野党としての姿なのだろうか。民進党代表戦は15日の臨時党大会で、岡田克也代表の後任となる新代表を選出する予定だ。

れんほう


 さて民進党代表選は、政策の議論よりもすっかり蓮舫氏の「二重国籍問題」に話題を持っていかれたようだ。 蓮舫氏も好きでこのようなスキャンダル級の事実を公にしてしまったわけではないが、ここにきて二重国籍問題が浮上することは非常に残念なことである。

 民進党代表戦自体は、論戦も少なく3者が仲良く討論会を行なったり、お互いの攻撃を控えているように思えた。そもそも国民の大多数は民進党代表戦にあまり興味がなかったようで、民進党の誰が代表になろうと、民進党が信頼できる野党になれるかどうかについては、関心が薄かった。

 先の参院選で共産党との選挙協力という「大失態」を犯してしまった民進党執行部は、国民の信頼を一気に失った。党の方向性を他党に影響され、安保法案の反対などのような一見聞こえの良い政策を支持して、若者に訴えかけた。その結果が与党の圧勝だったわけである。岡田代表はその代表的な戦犯である。

 党の綱領も定めず、日本をどのような国家にしていくかを国民に示すことができず、「国家観」のない政党に何ができるのだろうか。私は散々、民進党の党内改革を求めてきたが、そういった国民の声に応えようとしないまま、民進党は衰退の道を歩もうとしていた。
(参考記事:民主党が再び政権に就くには? まずは健全な野党に回帰するべき その手法とは?

 そこで今回の代表戦である。蓮舫氏は確かに人気がある。今回の二重国籍問題を擁護する声もたくさんある。しかし一時は政権与党の座に就き、行政改革担当の大臣まで務めた人物である。詰めが甘かったのではないだろうか。悪気がないのはわかる。しかし、有力な政治家として日本政治にある程度の影響力を保持しているにも拘らず、台湾との二重国籍を指摘されていては、さすがに代表の資格がないと言わざるえない。

 これが台湾ではなく、中国や韓国だったら、日本国内の世論はどうなっていただろうか。決して台湾だったから良かったという訳でなく、これは擁護のしようがない大問題なのである。

 問題なのは二重国籍を否定していたことである。蓮舫氏が13日、一転して台湾籍を残していたことを認めたことが問題なのである。これは民進党の地方票やサポーター票の締め切りが終わってからの発表であった。この緻密で計算された行為に、民進党内の一部では代表選延期や蓮舫氏撤退を求める声が上がり始めた。

 民進党の松原仁・元国家公安委員長は、「党員・サポーター、地方議員の投票が終わった後に『二重国籍でした』という議論が出てくるのは良くない。党員・サポーター投票が終わる前に明快にする必要があったのではないか」と批判して、代表戦の延期を求めている。

 他の野党からは日本維新の会の馬場伸幸幹事長が、「『事業仕分けの女王』と言われる歯切れのいい改革マインドをお持ちだったと思うが、自分のことは説明されていないように思う」と皮肉を込めて批判。さらに馬場氏は外国籍を持つ人が国会議員や国家公務員になることを禁じるための議員立法を検討していることを改めて強調して、今回の問題の根本的な原因は、現状の法整備の不備にあるとして、改善の必要性があることを説明した。

 恐らく民進党代表戦は予定通り開票され、新代表が選出される。 蓮舫氏の有利な展開であることは変わりないが、この問題は尾を引くだろうし、民進党がどのような路線を歩んでいくのか、肝心な議論が置き去りにされていることを危惧する。それはマスコミの報道姿勢にも問題があるのだが。

(この記事は編集長によるコラムです)


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