日本政府はロシアとの次官級協議を13日にモスクワで開催することになった。
「戦略対話」と銘打たれて行われるが、12月のプーチン大統領の訪日と北方領土交渉、経済協力の内容でまず間違いないだろう。

ロシアの町並み
 
 
日本とロシアの戦略対話は、国際情勢や2国間の課題について幅広く意見を交わすため平成19年から始まったものです。これについて、岸田外務大臣は閣議のあと記者団に対し、日本側から外務省の杉山事務次官が、ロシア側からチトフ第1外務次官が出席して今月13日にモスクワで開くことを明らかにしました。そのうえで、岸田大臣は「北朝鮮やシリアなど双方が関心を持つ国際問題について議論するのが中心となる。日本とロシアとの北方領土問題や平和条約についても触れられることは当然あり、大所高所から話し合ってもらいたい」と述べました。

日露関係はここ近年で一番良い関係であると思われる。安倍首相とプーチン大統領の信頼関係は国際社会全体を見渡しても唯一と言えるくらい緊密だ。
同盟国の米国よりも外交当局者の会合が行われている。(誤解のないように付け足すが、あくまで次官級などの重要な会合において。日米は普段から緊密であることは言うまでもない)
日本がロシアと協力していくことの重要性は何度も指摘したので割愛するが、やはり戦後、現在まで平和条約すら締結できていない状態は異常である。

何も無理して平和条約を締結することはないが、日本の隣国でもあるロシアというパートナーと手を組むことは地政学的に非常に重要なことである。中国や北朝鮮に対してロシア経由での抗議や調整も可能になるし、アメリカの現在のような不安定な状況ではいくら同盟国とはいえ、いつまでもアメリカ頼りでは日本が国際社会で生き残っていけないだろう。安倍首相はその危機感を理解していると言えるし、国民も支持をしている。国民は本当によくわかっていて、ロシアとの関係を緊密にすることが外交的利益を得る結果になることをよく理解している。現にロシアと協力関係を結ぶことについて目立った批判も見当たらない。

しかし油断してはならない。相手はロシアである。日本のメディアは「北方領土問題解決なるか!?」と甘い見方をしているが、そう簡単にロシアとの交渉はまとまらない。
それを伺わせる、ロシア高官の話がロシアメディアで掲載されていた。
ロシア外務省ザハロワ報道官
「平和条約を結ぶという問題を前進させるには、大戦の結果生じた、領土を含む現実を、日本が認めることが不可欠な条件。このような対話を成功させる重要な前提条件は、二国間関係全体の前向きな発展、信頼の強化、両国間の相互利益的協力関係の拡大」

改めて言うことでもないことをあえて強調して発言することは外交交渉でよく使われるが、ここでも「北方は簡単に返さない」と釘を刺している。しかし二国間の関係発展次第では進展もあり得る、ということを言いたいのだろう。次官級協議を前に日本側にメッセージを送った形になる。それに日本側は冒頭で岸田外務大臣が発言したように「返事」を送った形である。
クリミアやシリアでの行動を見ていればとても信用するに値しないと思ってしまうが、安倍首相はロシアへの大規模な経済協力をカードに北方領土の解決のために一歩踏み込んだ。その意気込みは買うが、政治には結果が求められる。簡単な交渉ではないが、外務省は妥協せずに交渉を重ねてほしい。日本にとっては北方領土が帰ってくる大きなチャンスなのだから。


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