日曜日のサンデーモーニングを久々に見た。相変わらずの偏向報道だな、と思いながら見続けていたら、シリア内戦のニュースが映し出された。停戦が破棄されアレッポでの空爆がまたもや激化したことや、女性のコメンテーターが難民の現状を解説したりしていたが、そんなことはわかっているのである。視聴者をバカにしているのか?と、ついコーヒーを飲みながらぼやいていた。

シリア難民
 

日本のテレビはどうも視聴者に対して上から目線でモノを言う体質がある。シリアの現状にしても「空爆とかなんでそんなことをするんですかねぇ」とか「難民を守らなければならないのです」とか、どれも当たり前のことしか言わない。確かにニュース番組では起こった事実を公正公平に淡々と報じることは大切なことだが、ワイドショー的な議論を展開する番組においても同じようなことしか言わない。これでは視聴者の考えは全く深まらない。テレビに求められていることは視聴者に対して提案することだと私は思う。「このような考えがあります」や「解決策としてこのような手法がある」などのように、具体的に提案すべきだと思う。

例えばシリアで言うならば、現状の内戦はシリア政府軍(ロシア、イラン連合と反体制派(米国を中心とした有志連合軍)そして過激派テロ組織(IS、イスラム征服戦線)も三つ巴の代理戦争に発展している。この場合、難民発生を防ぐために反体制派に民主革命をあきらめさせるのか、ロシアに交渉してアサド大統領の退陣を促すのか、先にテロ組織の壊滅を目指すべきなのか、これらのような提案をハッキリとコメンテーターは主張すべきであり、番組制作側も抑制せずに自由に発言することを許すべきである。

私は米国にもう介入はやめるべきだと提案したい。反体制派に武器を置かせて、武力による改革をあきらめるように促すべきだと思う。なぜならこの混乱を止めるためには安定した「政府」が必要だからだ。一刻も早く内戦を終わらせることが重要であり、戦況を見ても反体制派の劣勢は明らかである。米国やサウジアラビアなどは地政学的なパワーゲームをもうやめるべきだと私は考えている。そして日本政府が内戦後の政府の立て直しに加わるべきである。民主的な国家を築くためには日本的な考えを世界に広めるチャンスである。

でもテレビでは無理だろう。なぜなら日本が内戦や他国の平和のために介入することが危険だと多くの国民が勘違いしているからだ。自衛隊が他国に介入することも、日本政府が他国の内戦に関与することも(軍事的要素ではなく民生支援に対しても)日本国民はアレルギーを抱えており、国際社会に貢献する、という使命感が薄いことが理由に挙げられる。それがシリアに関しての関心の薄さにつながってるのではないだろうか。難民やシリア国民の危機的状況を憂うだけでは平和を実現することはできず、有識者は勇気を持って解決策を提示することが大事なことだと思う。


(NOW! TIMESのコラムとして掲載しています)
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「NOW! TIMES」
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