<特集>

長年のアフガン政策も水の泡 
完全にタリバンが息を吹き返した

タリバン


・タリバンの「春の攻勢」がアフガンの混乱要因に
・米国もアフガンの増派を検討
・中途半端な介入は混乱に拍車を掛ける恐れ


タリバンの暗躍にトランプも我慢ならず


アフガニスタンで長年介入してきた米国は多くの決断を行わなければならない。アフガンが本当に民主主義国家になって、平和が訪れるなどという幻想を本当に当時の米政権は思っていたのだろうか。多くの民族が交じり合うこの荒野で、米国が主導して「作られた民主国家」が本当に実現するとでも思ったのだろうか。


日本もかつては米国に占領され、米国の意向に沿った憲法を作られ、日本は戦後復興を成し遂げ経済大国にのし上がった。それは日本人という民族性が成功の大きな理由に挙げられる。では同じようにアフガン人やイラク人、シリア人が日本と同じように我慢強く、礼儀正しく、寡黙かといえばそうではない。米国に作られた民主国家など中東の人々は望んでいないのである。


アフガン

(隣国にイラン、パキスタンを抱えるアフガン。考えて見ればここに米国主導の民主国家が実現するわけがない)

米国ができること。それはもはや限られている。次のニュースのように過激派の指導者を一人ひとり抹殺していくことである。


「アフガニスタンのIS指導者を殺害、米軍・アフガン政府」

米軍によると、10日前にアフガニスタン東部のナンガルハル州で実施した両国の特殊部隊の合同作戦で、ハシブ幹部を殺害したという。
ハシブ幹部は、今年3月に軍の病院が攻撃され、少なくとも50人が死亡した事件を指示した人物だとみられている。
ハシブ幹部は昨年、前任者が米軍のドローン(無人機)による攻撃で死亡したことを受けてISのアフガニスタン地域組織の指導者に就いていた。
ハシブ幹部は3月の軍病院攻撃の首謀者だとみられているものの、アフガニスタンの安全保障専門家の一部は、同国では依然として小規模だとされる集団が大規模な攻撃を計画・実施できるのか疑念があると指摘している。



オバマ前政権で完全に中東政策を間違えた米国は立て直しを迫られている。しかしすでに時遅し。かつて米国を苦しめたアルカイダも、アフガンで暫定政権を気付いたタリバンも、完全に息を吹き返したのである。その原因は「中途半端な介入」である。


基本的に紛争解決には2つの手段しかない。戦争を終わらせるには
1、一切介入はせず、当事者同士の戦闘が終わるまで待つのみ。犠牲者は増えるがそれが戦争の基本的な姿勢
2、徹底的な軍事介入。一方の勢力に完全に同化して、戦いが終わるまで徹底的に戦う
しかし、2の場合、戦争終結後の復興、法整備なども完全にこなすことが求められる。それができなければ不完全な介入となる。


米国はイラク戦争の当事者であり、戦後復興と民主化への後押しを本気でやっていたに違いない。それは間違いない。しかしイラク人の非協力的な姿勢と、民族性に翻弄された現地の米国人職員は「イラクに民主化など無理だ」と後に発言していることから、現場レベルではあきらめムードが漂っていたという。


さてトランプ大統領の手腕は今のところ存分に発揮していると思うが、中東政策に関してはまだ様子を伺っている。とりあえずタリバンをこのまま放置するわけにはいかない、という姿勢を見せたのが次のニュースだ。


「トランプ大統領にアフガン増派提案=タリバンへの圧力強化-米紙」

米紙ワシントン・ポスト(電子版)は8日、米政権の外交・安保担当高官らがトランプ大統領に、アフガニスタンへの米部隊増派を含む軍事関与拡大を提案したと報じた。反政府勢力タリバンへの圧力を強め、和解のための交渉の席に着かせるのが狙いとされ、部隊撤収を進めたオバマ前政権の方針が大きく転換する可能性もある。
 関与拡大案は、現在約8400人の駐留米部隊を少なくとも3000人増派。戦地での米部隊の行動制約も緩和し、従来は認められなかった状況でもタリバンへの空爆が可能になる。トランプ氏は25日の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議までに、同案を承認するか否か最終決断を下す見通しという。



重要なのはこのあとだ。このまま増派したままで終わることがあってはいけない。それでは「中途半端な介入」に終わってしまう。タリバンやアルカイダはそれを狙っている。中途半端な介入をしのげば何とかなると思っているのだ。このまま増派をし続けアフガンを占領・統治するか、あるいは完全に撤退するか。紛争解決にはその両者しかないのが国際社会の現実なのだ。


Mitsuteru.O
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