タグ

タグ:シリア停戦

シリアで停戦が発効 和平に向けた最後のチャンスを逃すな

カテゴリ:
 内戦下のシリアで12日、米国とロシアが仲介した停戦合意が発効された。停戦の詳細は、シリア政府軍と反体制派が戦闘を停止し、アレッポなど包囲された数十万の民間人に人道支援物資搬入を急ぐこと。また、国連が仲介する和平協議再開のため本格的な停戦維持を目指すとしている。

シリア停戦
 

 荒廃してしまった歴史の深いシリアを救う最後のチャンスになるだろう。北部アレッポなどでは補給路が遮断され、飢えや病気で苦しむ人々が多く存在する。さらにシリア政府軍やISのテロ攻撃などで、病院や学校、市場などを失った地域もある。ISなどのテロリストとの戦いに備えるためにも、シリア政府と反体制派はこの停戦を確実に守るべきである。

 シリア政府軍は停戦発効直後、18日深夜までの7日間にわたる軍事作戦の「凍結」を正式に宣言した。しかし、これが確実に守られるかは疑問である。停戦は今回が初めてではない。過去に何度も停戦が試みられたが、政府軍と反体制派の衝突は収まらなかった。

 今回の停戦も、依然として反体制派側の正式同意を得られていない。それは、和平協議にアサド大統領が出席することへの不満がある。以前にも述べたが、反体制派はまず、和平協議のテーブルに付くべきだ。何のためにこれまで戦ってきたのか。それはシリア国民の人権を、アサドから守るためではなかったのか。今、不毛な戦いを続けることで、シリア国民の死者が増え続ける現状をどう思うのか。政治的な妥協も必要である。
(参考記事: シリア和平に向けて米露が重い腰を上げる

今回の停戦について、各方面の発言を以下にまとめた。
 
アサド大統領
「わが国はテロリストから全ての土地を奪い返し、安全と治安を回復させ、破壊されたインフラなどを全て建て直す」

ケリー米国務長官
「(停戦は)もちろん完璧とはいえない。これは我々にとって、統一国家としてのシリアを救う最後のチャンスかもしれない」

イラン外務省のアンサーリー・アラブアフリカ担当次官
「イランはシリアの人道的悲劇を終結させ 、あるいはそれを制限し、シリア国民の意見に基づいたこの国の危機の政治的な解決を保障する停戦や和平計画を歓迎する」

イラン外務省のガーセミー報道官
「この停戦にはISIS、ヌスラ戦線、新興の分派といったテログループは対象に含まれず、国際社会は過激派テロリズムに対し、真剣かつ決然と、また無条件かつ継続的に対処すべきだ」

 アサド大統領は即刻表舞台から立ち去るべきだと、私は何度も申し上げてきたが、今回も「テロリストから土地を奪い返す」と発言していることでお分かりのように、反体制派もテロリストと位置づけているのだ。だから攻撃は正当化される。「停戦の効力はテロリストには及ばないため、反体制派への攻撃は容認される」そのようにアサドは解釈している。身勝手で許されない認識である。

 その心配をケリー国務長官も感じているのだろう。「停戦が完璧ではない」というのはアサドへの不安があるのだろう。ところでイランが積極的に発言を行なっている。何やら不気味である。米露が停戦で歩み寄り、積極的に関与していくことが明らかになったことで、イランもロシアとともに停戦を見守る模様だ。シリア和平に一定の影響力を保持しておきたいイランの思惑が透けて見える。

 反体制派は軍事的に不利な状況に追い込まれている。もはや戦闘を継続していくには困難な状況だと多方面で報じられている。米軍や有志連合が露骨な支援をできない中で、もはや残された選択肢は「停戦」しかないだろう。反体制派の有力メンバー「シリア政府軍の包囲作戦が緩和されれば、我々は過激派との距離を置く準備ができている」と明言している。反体制派も停戦が実現する最後のチャンスだと思っているのだろう。

 しかし、どちらかが攻撃を加えたら、両者とも確実に反撃を行い、再び交戦状態に陥る。そうなった場合、シリアの将来は今よりも残酷な状況を迎えるだろう。そうならないためにもシリア政府と反体制派には停戦を守ることを強く望む。

 幸い、ISはシリアにおいて勢力を失いつつある。停戦を実現して、和平協議を開き、対IS戦を国際社会とともに協力して行なう、最後のチャンスにしてほしい。

(この記事は重要なニュースを紹介するダイジェストです)


古川 光輝
政治フリーペーパー「JAPAN IN THE WORLD」
http://site-935764-9191-6615.strikingly.com/ 


ジャーナリズム ブログランキングへ

シリア・アレッポで停戦合意! 和平への道筋はいかに

カテゴリ:

~この記事の要点~

・アレッポで停戦が発効
・本当に停戦が守られるかは疑問
・シリア和平への道筋は


お疲れ様です。
さて、中東情勢を左右するビッグニュースが入ってきました。

▼シリア最激戦地のアレッポ(グーグルマップ)

混乱するシリアの激戦地、アレッポで停戦が発効されました。
以下に要約しています。


・シリア政府軍は4日、米露両政府の圧力に応じ、同国第2の都市アレッポにおける2日間の停戦に同意。
・同国首都ダマスカスの軍司令部は声明で「木曜日(5日)の午前1時(日本時間同日午前7時)より、アレッポで48時間の停戦が発効する」と発表。



▼空爆や戦闘で荒廃したシリア第2の地 アレッポ(AFP)
アレッポAFP

▼歴史のある町だったが...(CNN)
CNN アレッポの様子
 
シリアで最大の懸念だったアレッポでの停戦がひとまずは実現するかも知れません。
日本時間で、本日の朝から2日間に渡っての停戦です。ということは恐らく今現在、戦闘がストップしている状況です。
(シリア政府軍、ロシア軍、反体制派ともに停戦をしっかり守ったことはないが...。)


いくつか関係者のコメントも出ていますので、ご紹介します。


米・トナー副報道官
「シリアの市民に対する攻撃を正当化することはできず、直ちに停止しなければならない」
「我々の目標がシリア全土を網羅する敵対行為の停止であることに変わりはない」

露・ラブロフ外相 (国連のデミストゥラ特使との共同会見で)
「(ロシアと米国が)同じ地図を見ることになる。恐らくこれは、ロシアと米国による連携強化に向けた大きな一歩になるだろう」

英・ライクロフト国連大使
「シリア国民の国連に対する信頼は薄れつつある。信頼を取り戻すためには国連が大量殺戮を食い止めなければならない」

反政府交渉団の調整官
「新しいイニシアティブを求める」




停戦の遵守と和平の行方


さて、今後のシリアですが、正直に申し上げてまだ何とも言えません。
これまでにも停戦が発行されたにも関わらず、平気で戦闘が繰り広げられてきましたから、今回の停戦も守られるかは正直疑問です。
中東情勢を普段からご覧になっている方には常識的なことですが、中東のこれらの問題は、情報を鵜呑みにしてはいけません。


停戦に関しても、たった48時間。2日後にはまた戦闘が始まる恐れがあります。
また、停戦といってもシリア政府軍と反体制派のみの適用となり、当然ながらISやヌスラ戦線などの過激派には適用されません。


停戦に向けての駆け引きも尋常ではありません。
シリアの国営メディアによると、2日には政府の掌握地域がロケット弾で砲撃され、少なくとも17人が死亡したようです。
停戦が発効される前に少しでも戦況を優位にしようという表れです。


特にロシアはシリア介入の理由は、過激派の掃討にあるとアピールしています。
ロシア国防相のコナシェンコフ報道官によると、「ロシア軍機は過去4日間だけで87回にわたってISを空爆した。ラッカとデリゾールにあるISの資産を狙った」
と語り、ロシアの正当性を国際社会に誇示しています。

▼トリポリでアレッポの混乱解決を願う少女(AFP)
シリア トリポリ少女 AFP

一番大事なことは、英・国連大使のコメントにあるように、民間人の犠牲者を何とかしなければならないこと。
アラブ連盟も4日の緊急会合で、アレッポに対する空爆は人道に対する罪であると非難し、安保理に対して、必要な措置を取るように要請したようです。
シリア内戦で大量の死者、難民が発生している現状を食い止めること。これが国際社会に求められているのです。
シリアでどの国や組織が優位に立つか。それはあくまで政治ゲームなので、あとからでいいのです。まずはシリア国内の民間人の保護が先決です。


停戦が守られたと仮定して、次は和平の行方ですが、反体制派が応じるか微妙でしょう。
その理由は、まず一つとして、シリア政府軍の進撃(ロシア軍も含む)が相当なもので、軍事的には崩壊寸前であること。
米や有志連合の援助なしではとても戦えない状況です。そのため和平会議に出席したとしても、不利な案を呑まされる可能性が高いと見込まれる。


もう一つは、アサドが今後のシリアに関わる可能性が高いということ。
反体制派は、和平プロセスそのものにアサドが参加することを、拒絶しています。
シリア政府側はアサド維持が目的ですから、これはどうにもならない。これでは完全に袋小路に陥ってしまいます。


和平を成功させるには絶対に米露の指導力が必要です。
つまりロシアはシリア政府に、アメリカは反体制派に、和平実現のためのイニシアティブを発揮するべきです。
こうした出口の無い内戦では、第3国の介入が絶対に必要です。それでこその国際政治なのですから。


とにもかくもアレッポで停戦が発効されたのは、歓迎すべきです。
もしかすると近日中に新たな声明(和平に関する何らかの情報)が出されるかもしれません。
すぐにお伝えしたいと思います。ここが正念場ですからね。


最後に付け加えますが、残念なのは、日本でアレッポ停戦についての政治家の発言がないこと。
中東情勢に関心がないことが証明されています。
政治がこのような認識ですから、国民の関心がないのも仕方ないのかもしれません。
これでテロ警戒と言っているのですから、ふざけていますね。このままではいけません。
ひとまず失礼します。



Mitsuteru.O


引用参考元
・CNN
・AFP
・スプートニク
・アルアラビアネット


Mail:japan.in.the.world919@gmail.com

日本メディアが報じない中東情勢Vol.2 (バイデン副大統領のイラク電撃訪問、ほか)

カテゴリ:

~この記事の要点~

・バイデン副大統領の予告なしイラク訪問の真意
・ロシア、ラブロフ外相がアメリカにご立腹
・イエメンでアルカイダ掃討作戦が続く


皆さん、お疲れ様です。断片的ではありますが、次々と重要なニュースが飛び込んできますので、お伝えします。
学校や会社、教養として役立てていただければ幸いです。


バイデン副大統領のイラク訪問


これは完全に予告無しだったようで、メディアでは大きく伝えられていますね。(日本ではどうだったか?)
何かのタイミングでよくアメリカは予告無しの訪問をしますけれど、重要な議論の場合と、安全上の配慮もあるのでしょう。なんせイラクですからね。

バイデン副大統領

さて話し合われた内容については、やはり公式には発表されません。いくつかの観測によれば、

・IS掃討のための方針確認
・イラクでの宗派対立に関するデモの解決策の議論
・ISからモスルを奪還することの確認
などが議論された模様


さらにシリアがあのような状況ですから、恐らくイラクにも飛び火しないように、しっかり安全保障面で協力していくとの確約をしたのでしょう。
シリアでは有志連合軍とともにプランB(詳細は過去記事をご覧下さい→シリア和平は事実上崩壊 アメリカのプランB始動でシリアは再び混乱へ)の実施をほのめかしていますから、イラクでも支援を頼む、とイラク政権は思っていたのでしょう。
今後のイラクでの動きが、このバイデン氏の電撃訪問に紐付けられることでしょう。


ロシア、ラブロフ外相の発言

ラブロフ

ロシアの外相がご立腹です。何に怒っているかというと、アメリカに怒っています。
その理由は、停戦で合意した反体制派のアレッポからの退去が守られていない!とのことです。


シリア内戦にて停戦合意した際に(実際は何も停戦は守られていないが)米露の間で、アレッポから反体制派を退却することが約束されたのですが、それを守っていないことにご不満のようです。
この地域はヌスラ戦線も活動していて、ロシアが掲げる対テロ掃討作戦に支障がきたす、と主張しているようです。

アレッポ

どういうことかというと、ヌスラ戦線に空爆を実施しようとしても、反体制派が近くに残っているから、攻撃できない、または巻き添えを食らっても知らないぞ、ということ。
実際空爆を何回か実施して、反体制派に被害が確認されていますが、それはあくまでもヌスラ戦線やISを標的をしていて、反体制派を狙ったものではない。退却せず、近くに残っているお前たちが悪いんだ、と言っているのです。
反体制派を支援するアメリカに、その懸念を伝えたという構図です。


難しい問題です。停戦の内容が内容なだけに、反体制派にも責任があるとは言えますが、それを承知で空爆を実施するロシア、シリア軍も批判を浴びるのは当然です。
停戦の障害になっているのは両軍の意思だけでなく、過激派組織の存在もあるからです。ひとえに停戦を守れ、と言っても過激派の攻撃やテロを抑止するために空爆は実施するべきです。
今後も議論の余地はありそうですね。


イエメンでアルカイダ掃討作戦


サウジ軍を中心としたアラブ連合軍が、イエメン南部で積極的な掃討作戦を実施した模様です。
アデン・タエズを中心とした作戦で、ラバジェでの作戦はアルカイダの拠点にアパッチヘリを出撃させたようです。

アデン周囲地図

アパッチ

凄まじい攻勢です。先日もイエメンでアルカイダ戦闘員800名を殺害させていますから、アラブ連合は本気です。
しかしアルカイダの戦闘員は何人いるんだ!?という感じですね。
しかもアルカイダはこの攻撃の空爆の報復として、イエメンの交通局長を暗殺しています。反撃する力もまだあるということに驚きです。


このような大規模な戦闘がイエメンで行なわれていることを、日本人のどれだけの人が知っているのか...。
イエメンでは和平が進んでいるようですね。アラブ連合がアルカイダを攻撃して、あとはフーシが過激な行動に出ず、イランが何もしなければ、イエメン和平は合意に達するかもしれません。


ちなみに続報で、シリアで米露の停戦合意が発表されたとのニュースが飛び込んできました。
日本のマスコミも取り上げていますが、正しいものではありません。両者の発表に食い違いがあることを見逃してはいけません。


・アメリカの発表では停戦地域の限定はされていない、としている
・ロシアの発表ではラタキアで72時間、ダマスカスで24時間の停戦、としている


日本メディアは正しい情報を公正に発信して下さい。頼みます。
このニュースに関する詳細と分析は、別のニュースサイトでの執筆以来をいただいたので、そちらに書きます。またご報告させていただきます。
一日お疲れ様でした。


Mitsuteru.O


引用参考元
・CNN
・スプートニク
・アルジャジーラ
・アル・アラビアネット

Mail:japan.in.the.world919@gmail.com

このページのトップヘ

見出し画像
×