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イラク、シリアの作戦について

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シリアへ米中央軍の最高司令官が訪問したようで、クルド人部隊やアラブ系の民族部隊への支援を続ける意思を示した。
また、イラクでファルージャ奪還に向けて、最終的な作戦に入ったようだ。地元住民にも非難勧告を出していて、大規模な空爆が予想される。

ファルージャ


シリアでは相変わらずシリア政府軍、ロシア軍、有志連合軍、アラブ連合、反体制派、ヌスラ戦線、ヒズボラ、そしてISなど、まるで戦国時代のように、血を流す戦いを続けている。
しかし世界共通の敵であるISについては弱体化が確実に進んでおり、各国の空爆が効果をあげているのは事実である。
まず、このISの壊滅をすべての国で取り組めば、シリアの混乱は解決の道へと進む可能性がある。


これらの作戦はもしかすると、有志連合が当初予想していた第2段階の終結を意味するものなのかもしれない。有志連合の作戦には第3段階まである。
この第2段階とはISをラッカ(シリア)とモスル(イラク)の根拠地から追放するために、これらの地域を孤立化させることを目的にしている。
この第2段階作戦は、イラクではユーフラティス流域でアンバール県の安定を回復し、ティグリス川流域ではモースルの孤立化を目指して、既に始まっている。
注目される最終段階では、特殊部隊も使い、ISが再び復活できないようにするために彼らを壊滅させることである。


シリアでは先日、ロシアがアメリカに合同作戦を打診したようだが、アメリカが拒否したという。有志連合を率いる立場としてロシアと手を組むことはできないだろう。
一方イラクでは、何やらきな臭い動きが目立つ。それはグリーンゾーンでのデモが過激化していることだ。イラクの元指導者サドル師率いるデモ隊だが、とても不穏な気配がする。
イラク政府の運営に不満を残すスンニ派の代表的な指導者である。この人物は先月、テヘランへ訪問している。イランと接触する理由がわからない。なぜシーア派の大国の後ろ盾を取り付けたいのだろうか?


イラクは、アメリカが目指した民主政治の失敗作に終わる可能性が高い。存在しない大量破壊兵器から始まったイラクの悲劇は最終局面を迎えている。フセイン・バース党の消滅からスンニ派の冷遇に至るまで、ここ最近のイラクは褒められるような政治を行っていない。結局はイラクのことはイラク国民で決めればよかったのかも知れない。終わりの始まりとなるのか、はたまたイラクが民主主義の旗を降ろさずに立ち直るのか。


ただシリア、イラクでのアメリカでの動きは、この有志連合軍の戦術オペレーションの表れだと言える。
最終段階に突入するまでに、イラクの政治に関する道筋は付けておきたいところである。ただ繰り返すようだが、サドル師とイランの接触は注意すべきだ。イランがスンニ派を助けるために大規模な作戦を行う可能性もある。シリアでは、もはや停戦と和平などできる状態にないので、とにかくISの壊滅から手を付けるべきだろう。


Mitsuteru.O


Mail:japan.in.the.world919@gmail.com
国際基準の言論サイト「JAPAN IN THE WORLD」   

イラク、ファルージャの動きに関する報告

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シリアへ米中央軍の最高司令官が訪問したようで、クルド人部隊やアラブ系の民族部隊への支援を続ける意思を示した。
また、イラクでファルージャ奪還に向けて、最終的な確認に入ったようだ。地元住民にも非難勧告を出していて、大規模な空爆が予想される。

デモ


シリアでは相変わらずシリア政府軍、ロシア軍、有志連合軍、アラブ連合、反体制派、ヌスラ戦線、ヒズボラ、そしてISなど、まるで戦国時代のように、血を流す戦いを続けている。
しかし世界共通の敵であるISについては弱体化が確実に進んでおり、各国の空爆が効果をあげているのは事実である。
まず、このISの壊滅をすべての国で取り組めば、シリアの混乱は解決の道へと進む可能性がある。


これらの作戦はもしかすると、有志連合が当初予想していた第2段階の終結を意味するものなのかもしれない。有志連合の作戦には第3段階まである。
この第2段階とはISをラッカ(シリア)とモスル(イラク)の根拠地から追放するために、これらの地域を孤立化させることを目的にしている。
この第2段階作戦は、イラクではユーフラティス流域でアンバール県の安定を回復し、ティグリス川流域ではモースルの孤立化を目指して、既に始まっている。
注目される最終段階では、特殊部隊も使い、ISが再び復活できないようにするために彼らを壊滅させることである。


シリアでは先日、ロシアがアメリカに合同作戦を打診したようだが、アメリカが拒否したという。有志連合を率いる立場としてロシアと手を組むことはできないだろう。
一方イラクでは、何やらきな臭い動きが目立つ。それはグリーンゾーンでのデモが過激化していることだ。イラクの元指導者サドル師率いるデモ隊だが、とても不穏な気配がする。
イラク政府の運営に不満を残すスンニ派の代表的な指導者である。この人物は先月、テヘランへ訪問している。シーア派のイランと接触する理由は一体なんだ?


イラクは、アメリカが目指した民主政治の失敗作に終わる可能性が高い。存在しない大量破壊兵器から始まったイラクの悲劇は最終局面を迎えている。フセイン・バース党の消滅からスンニ派の冷遇に至るまで、ここ最近のイラクは褒められるような政治を行っていない。結局はイラクのことはイラク国民で決めればよかったのかも知れない。終わりの始まりとなるのか、はたまたイラクが民主主義の旗を降ろさずに立ち直るのか。


ただシリア、イラクでのアメリカでの動きは、この有志連合軍の戦術オペレーションの表れだと言える。
最終段階に突入するまでに、イラクの政治に関する道筋は付けておきたいところである。ただ繰り返すようだが、サドル師とイランの接触は注意すべきだ。
シリアでは、もはや停戦と和平などできる状態にないので、とにかくISの壊滅から手を付けるべきだろう。


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日本が中東、シリアに積極的介入へ!

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いやいや、驚きました。
このニュースを知ったのは13日の朝だったのですが、飛び起きました。
日本がシリア支援の参加国に正式に招待されるようです。

停戦を維持できるかどうかが最大の焦点となっているシリアを巡って、これまでアメリカとロシアが中心となり、和平プロセスを協議してきた支援国グループに、新たに日本が参加することが分かり、今後、シリア和平へのより積極的な関与が求められることになります。
 
siria

シリア情勢を巡っては、アサド政権と反政府勢力との停戦がいったんは実現したものの、北部で再び戦闘が起きており、次回の会合でも停戦をいかに維持するかが、焦点になるとみられます。
日本はこれまでシリアの難民支援などにあたってきましたが、今後は国連安保理の非常任理事国としての立場に加え、支援国グループの一員として、シリア和平へのより積極的な関与が求められることになります。

引用元・NHK

 

さらにこのニュースも。首相官邸でクウェートのジャビル首相と会談。伊勢志摩サミットで中東情勢について話し合うことを確約しました。

安倍晋三首相は12日、クウェートのジャビル首相と官邸で会談し、今月26、27両日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で中東情勢が主要議題になるとの認識を示した。両首相は中東の平和と安定の実現に向け協力する方針で一致。安倍首相は難民支援などを念頭に「日本の強みを生かした中東支援を実施していく」と強調した。

kweet

引用元・ロイター

http://jp.mobile.reuters.com/article/idJP2016051201001740?feedType=RSS&feedName=jp_mideast&virtualBrandChannel=13362&utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter


私は以前からこのブログで、日本はシリアの平和のために積極的に関与すべきだと指摘してきました。
日本が掲げる平和主義、平和外交を世界に広げるチャンスだと。
日本は民主主義のお手本です。
70年前、第二次世界大戦に敗戦してから、一度も戦争をしていません。

その平和を重んじる精神は老若男女、保守、リベラルの垣根を越えて、日本人全体が共有していることだと思います。その精神を世界に広げるべきです。

そのチャンスが訪れました。
とても困難なシリア和平を実現させる大きな仕事が日本に舞い込んで来ました。
これは安倍外交の賜物だと思います。

オバマやプーチンの信頼も得ています。
「アベもシリアに介入しなよ」とでもプーチンに言われたのでしょうか。笑

さて介入といっても自衛隊がシリアに展開するわけではありません。
日本の得意分野、それは内戦終結後の復興ですね。イラクでも実績があります。
日本に任しておけば、どこからも文句は言われません。それくらいのレベルです。

さらに駆けつけ警護も可能になり、武器の一部使用も、平和安全法制のおかげで認められています。
日本が国際貢献するにはどれも必要なことです。
世界平和、国際貢献と言うなら、行使して当然のことなのです。
これで外国部隊に守ってもらうことも必要なくなります。
日本が自立して、シリアの復興を担う。これ以上の国際貢献はありません。

とても嬉しいニュースです。
日本人として誇りに思いますね。


Mitsuteru.O


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GCCで見えた中東の未来 キープレーヤーはどこの国?

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4月21日にサウジアラビアの首都リヤドで湾岸協力会議GCCが行なわれました。

GCC 構成図


シリアやイエメンなど、混乱が続く中東情勢で、地政学的に重要なプレーヤーである湾岸諸国がどのような出方をするのか、国際社会では開催前から注目されていました。
(ご存知のように日本では特集すらもお目にかからなかったが)

▼GCCに望む湾岸各国首脳と米オバマ大統領
GCC


▼会談を行なうオバマ米大統領とサウジのサルマン国王
オバマ サルマン


今回の会議や首脳会議での大きなポイントは大きく分けて2つあります。
まずはシリア情勢。そのなかでも大きな焦点となるのはアサド氏の処遇です。先日の本ブログ記事でもお伝えした通り(過去記事URL)、アサド氏の処遇次第で和平の行方は変わっていく情勢です。
そして、湾岸諸国とイランとの関係。特にサウジアラビアとの関係ですが、アメリカとの関係とも関連しており、相当なインテリジェンス戦争のさなかにあると考えます。
この2点に注目するとともに、今回のGCCで議論された内容を分析お伝えしていきたいと思います。


中東の歴史の転換点?イランの復活がカギに


GCC湾岸会議でも、最大の懸念であったイランへの対応が論点となりました。イランを語るうえで抑えておくべきポイントは、アメリカとの関係です。
現在イランはアサド政府軍の支援に回っています。他にもイエメンではフーシ、レバノンではヒズボラとの太いパイプを持っていて、知らぬ間に中東情勢のキープレーヤーとなっています。
そこでさらに混乱するのがアメリカとの核合意です。
アメリカとの接近で怒っているのがサウジアラビアです。アメリカとサウジアラビアといえば伝統的な友好国で、サウジからすればイランとの接近を良く思っていない。
イランはアサド支援で間違いなく、革命防衛隊もシリアに展開していますから、ロシアとともにアサド維持の思惑は一致しています。
国際的な代表プレーヤーである大国(アメリカ・ロシア)の影に隠れながら、サウジ・イランは睨み合っている恐ろしい現状なのです。


先ほど核合意と申し上げましたが、核兵器の「廃棄」ではなく、「凍結」をしたにすぎません。これまで完全廃棄を求めてきた欧米が、ウラン濃縮の権利を初めて認めたことになります。
高濃度プルトニウムの製造禁止、ウランの削減、査察の受け入れなど、イランはその責任を果たしたと、国際社会に訴えかけています。
この手法はシリアのアサドと同じで、アサドが化学兵器の廃棄に応じて大統領としての正当性を誇示したことと同じで、イランも核開発凍結で責任を果たしたつもりでいます。
その証拠にシリアへ積極介入を始めて、イエメンではフーシに肩入れをして、情勢を混乱させています。(どちらか一方の肯定はしないが、事実、混乱は生じている)


まとめると、中東のパワーバランスは転換点にあるといえます。アメリカと同盟関係を結んでいるイスラエル・サウジがイランを封じ込めてきた時代は終わりを迎えているのかも知れません。
もちろんイランはそれを根本から変えようとしています。それが核合意でアメリカ(オバマ?)に花を持たせ、外交的実績を築き上げることで、国際社会のイランへの疑念を払拭する機会になりました。
アメリカは当時、イランのアハムディネジャド大統領による保守強硬路線に苦労し、「ならず者国家」と呼んでいました。ただ、イランには大量破壊兵器がない、という情報機関(CIAか?)の分析もあり、
またそれが世界各国のインテリジェンスの中でも共通認識になり、(それはイランによる工作なのかも?)それが結果的にアメリカはイランを何とかコントロールできる、という結論に至ったのです。


それに加えてアメリカは中東への関与を控えています。オバマ大統領の在任中は、兵力の増派や空爆の数を増やすといったことはやるとしても、大規模な介入はやらないだろうという見方が一般的です。
見せかけの平和外交を利用して、イランは中東地域での復権のために、まずは核合意というカードを切ってきました。そして核合意とシリア介入のタイミングは絶妙でした。
長年の宿敵であるイスラエル・サウジは当然黙っていません。混乱に拍車を掛けることが予想されるイランの復権に、私は懐疑的な視点で見ています。


シリア和平最大の焦点、アサドの処遇


シリアに関してはもはやアサドの存在自体が、和平成立への障壁をなっており、アサドがシリアの権力に居座り続ける以上、シリアの未来はないと言えます。
アサド政権を守るロシア、イランは国際社会の圧力に屈することなく、あくまで正当性を誇示しながら、シリアの未来のために戦っている様子を見せています。
しかし、真相は自国の中東への関与を強めたいというビジョンからの行動であり、シリアの将来というのはいかにもロシアらしくない表現だと言えます。
そのロシアはパルミラ遺跡での地雷撤去などの実績を強調して国際社会にアピールしていますが、国際情勢を少しでも知っている方からすれば、半信半疑であると思います。


GCCではアサドの排除がシリア和平には絶対条件だ、ということで一致しています。(ロシア・イランが会議にいないのだから当然の結果)
こればかりは揺るぎようの無い事実なのですが、反体制派が折れることはまずないでしょう。それはアサドがシリア国内で行なってきた大量殺戮は歴史的な事実だからです。
よく日本でも聞かれる論理ですが、「対話をして」というのは本当に甘い。例えばまずありえないことですが、国会前で「アベ死ね」と叫んでいるデモ参加者に、自衛隊や警察が発砲して大量の死者が出たらどうなるか?
右派も左派も関係なく、首相の即刻退陣を求めるでしょう?それが武装化するかどうかはわかりませんが、シリアで起こっている内戦は国民の怒りが発端となったものであり、なにも中東で起こっていることだから異質なものであるということではないのです。


ただ、アサドをいかに排除させるかに関して言えば、非常に難しい。ロシアがアサドに肩入れしている以上、アサド政権軍は最後まで徹底抗戦をするでしょう。
すべてはアメリカの消極姿勢が原因であることはほぼ間違いないでしょう。(賛否両論あるが)介入を躊躇している間に、アサドはイランとヒズボラに協力を頼み、反体制派はヌスラ戦線と共にするようになった。
そしてISの出現。やっとのことで空爆を実施した有志連合も、地上作戦なしでの軍事的成果は乏しく、パルミラを占領されました。


アサドをどうすべきか。それはシリアを考えるうえで一番の重要な議題ですが、もはや欧米は諦めているのかもしれない。
先日シリアで議会選挙が行なわれましたが、アサドの支配下で行なわれたものだったので当然アサド政権の信任で圧勝でした。
それを国際社会は冷めた目で見ていますが、当の本人はこれでまた正当性をアピールできたと思っています。
シリアで選挙が行なわれアサドが勝つ。この事実は手法がどれだけ間違っているものであっても一つの事実なので、嫌な感じはしますよね。


そして気になるのは反体制派の力が弱まっている件です。政治的にもシリア和平に関するジュネーブでの交渉もうまいとはいえず、また軍事的にもISやアサド政権軍に敗北を重ねています。
このまま停戦が破棄され、和平も白紙に戻り、政府軍が攻勢に出る可能性は十分にあります。そこで持ちこたえることができるか。相手はロシア・イランがしっかりついています。反体制派は有志連合の空爆頼みですが、アメリカの消極姿勢では期待できない。(プランBはもしかすると見せかけだったのかも)
いずれにせよ反体制派に残された時間は少ないでしょう。最悪のケースは反体制派が軍事的に完全に敗北し、解体され、ロシア(プーチン)の意のままに動くシリアがまた出来上がることです。
そこでISが領土拡大のためにシリアに攻撃を仕掛けるでしょう。そうなったとき、事実上、ロシア対ISの構図が出来上がります。そのときにアメリカやサウジ、欧米各国はロシアの支援に回るのでしょうか?それも非常に興味深いことではありますが。


一応GCCに関する記事ですので、話し合われた内容や合意点をまとめておきます。

・湾岸諸国とアメリカはIS掃討で一致
・シリア和平にはアサドの排除が絶対条件
・イランと湾岸諸国の関係改善を模索
・GCCは中東介入において空爆以上の介入は実施しない
・アメリカによるGCCへの武器供与は継続
・GCCはイランとの対話の条件として、シリア・イラク・イエメンへの介入をやめることが前提条件


良くも悪くも、シリア和平における時間的猶予はもうありません。
どちらかが折れて和平に突き進むか、停戦が完全破棄されて再びシリアが崩壊するか。
一体、シリアや中東、世界はどこに向かうのでしょうか。


Mitsuteru.O

記事引用元
AFP
アルジャジーラ
アル・アラビアネット
ニューズウィーク

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シリア和平は事実上崩壊 アメリカのプランB始動でシリアは再び混乱へ

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日本では悲しいことに、シリア和平に関する報道はあまり目にしませんが、どうやらシリア和平協議(ジュネーブ会議)は決裂する方向になりそうです。
停戦が実現されて、アサド政権と反体制派が同じテーブルでシリアの将来を話し合う、といったような夢物語はやはり実現しませんでした。
直近の経緯を以下にまとめました。普段日本で平和な毎日を過ごす我々にとって、信じられない事態がシリアで起こっているのです。
実際にこの世の中で行なわれていることです。ぜひご覧ください。


4月17日
国連特使が新たな和平案
反政府代表団筋の話として、国連特使が反政府交渉団に、移行期間中アサドは政権にとどまるも、基本的にはプロトコール的な役割に限定し、政治、軍事に関する実際の権限は3人の副大統領が遂行するとの案を示した
アサドはロシア通信とのインタビューで、現憲法には移行機関の規定はなく、現憲法下で移行機関を議論するのは憲法違反で論理的ではないと主張していた。
一方、米大統領府の中東問題担当官と、プーチン大統領の特使が、シリアの憲法問題について協議したとのこと。
彼らは先にロシア側がケリー長官に伝達した、憲法問題に関する案につき協議したが、米国は移行機関にできるだけ大幅な権限を与えることに固執している。

4月19日
シリア和平会議は凍結の観測
国連のシリア問題特使は18日、反政府代表団から、現在の交渉への参加を凍結するとの連絡を受けたことを確認した。
しかし、特使は反政府交渉団がジュネーブに引き続き滞在するとして、特使との間で技術的な問題の協議を続けるだろうと述べた。更に間接交渉という形が、柔軟性を確保するので、特使としては今後とも交渉を続けるつもりであるとした。
特使によれば、反政府派は政府軍による多くの停戦違反、(包囲された町への)人道物資搬入の阻害等に重大な危機感を有しているが、最大の問題は政府と反政府の根本的な対立点についての溝が埋まっていないことで、それは反政府が移行機関問題を重要視しているのに対して、政府側は現在の政府に反政府派もいれた拡大政府の維持に固執していること
国連特使は、双方の根本的対立が続く場合には、米国とロシアの介入を要請することになろうと語った。

4月20日
和平会議凍結が現実味
反政府代表団が政府軍の停戦違反、人道支援物資の搬入妨害に対して、出席を「延期する」としたが、 18日政府軍のイドリブの野菜市場等に対する空爆で多数の死傷者が出たことに足して、ハジャーブ反政府交渉調整官(元首相)が、このような状況では出席は「凍結」せざるを得ず、会議の失敗の可能性も出てきているとして、ミストラ特使は安保理と協議すべきであると、表明した経緯があった模様
この政府軍機による爆撃は、反政府派が、抗議への出席を延期するとしてこと及び、オバマとプーチンが電話会議をしたことに対する、シリア政府の回答であるとコメントしています。

4月22日
和平会議は失敗か
反政府派代表団は、政府側が繰り返し停戦違反をしていて、包囲された町に対する人道支援、拘禁者の問題等について何ら善意が示されていないとして、交渉調整官の支持で全員22日にはジュネーブを離れることになった模様。


なぜ和平が実現しないか(正確には和平協議を開催する環境が整わない)を、簡単に要約しますと、

・アサド政府軍、反体制派双方で、戦闘が続いている
・新政府移行機関の内容に反体制派が反発している
・アサド側は新政府の構想を、現アサド陣営と反体制派の両方を組み込む考え
・それに対して反体制派はアサドは絶対に排除しなければ、協議にも応じない考え


これに加えて、背後にアメリカ有志連合と、ロシア、イラン連合が双方を操っており、どのような出方になったとしても、双方どちらかに国益を損失する計算になります。
一歩も譲らない姿勢の両者と、影響力を行使する大国。シリアが泥沼化する理由は世界各国を巻き込んでいるからなのです。
ただの内戦なら今現在も調整役をやっている国連のような、第三者機関の仲介で、すぐに一時的な解決法は見出せるのですが、背後にいるのが本来は仲介に入らなければならないプレーヤーなのですから、この紛争の終わりはなかなか見えてこないわけであります。


そして、米露両者の対立は戦術的(軍事的)なものだけでなく、政治体制や新政府移行の流れにまで、介入しています。
むしろ、こちらのほうがシリア問題の本質的な部分であり、根本的な論点はアサドの処遇ということになります。
当たり前の話ですが、もしロシアとアサドが折れて、新政府意向にもアサドは一切関与しない、シリア新政府は完全にアサド抜きの体制にしましょうと表明すれば、和平は一気に進むでしょう。
問題は何が原因でシリアは内戦になったのか。反体制派の言い分からすればそういうことです。アサドの政治手法が現在のシリアの現状を招き、ISのようなに隙を与え、多くの国民が殺害された。
そのアサドが新政府移行に関与するなど考えられない、ということです。


▼シリア北西部イドリブの野菜市場での空爆

イドリブ空爆

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和平協議の崩壊の原因は、上記で示したように両者が折り合わないことにあるのですが、決定的な出来事としては4月18日のイドリブでの政府軍による空爆でしょうか。
反体制派のハジャーブ交渉調整官の発言にあるように、和平会議への「凍結」を示唆しています。
停戦違反は一方が攻撃を加えたら、受けた側は当然反撃をするので、両者に相当な覚悟と、ある意味での信頼がなくしては、実現しません。
特に中東によく見られるような、完全にコントロールされていない組織において、現場レベル(最前線の対立地帯)での停戦遵守は不可能でしょう。それはイエメンでも同じことです。
そして、このまま停戦が守られず、和平が崩壊すれば再びシリアは荒廃した土地になるでしょう。
その理由がアメリカの、ある重大決定にあるのです。


日本では全く報じられない
アメリカのプランB


米経済紙・ウォールストリートジャーナルが大スクープを報じました。
失望するのは日本のメディアです。全くこのニュースを取り上げない。とんでもない大スクープなのに。


4月14日
停戦失敗後のプランB浮上
WSJの報道によると、米国CIAが停戦破綻の場合の代替(プランB)として穏健反政府軍に対する、近代兵器を含む軍事援助を検討していると報じている。
責任者の発言として、CIA及び当該地域の同盟国は、プランBとして近代兵器の供与を検討しているとしているとのこと。その中には政府軍機や、その大砲に対抗するための武器も含んでいる。但し、CIAはその同盟国に対して、これらの兵器の供与は、停戦が破たんし、政治的解決が破たんした場合に限ると説明している。
さらにこの2月にCIAがプランBの実施について、オバマ大統領に圧力をかけていることが明らかになっている。


このニュースは本当に重大なニュースです。アメリカが本格的に軍事介入するサインです。
このような大ニュースを日本のマスコミは無視しています。重要性が理解できないのか、または無視しているかどちらかしか考えられません。
日本が中東に関与しないことが果たして正解なのかは、よく見極めなければいけませんが、国際政治のトレンドである、シリアの現状を知るうえで絶対に必要な情報だったはずです。
大きな影響力を保持しておきながら、その責任を果たしていない大手マスコミをここで非難します。


話を元に戻しますと、どうやらCIAがオバマ大統領に進言したとか。あなたが掲げる平和外交ではシリア問題の終結は無理だ、と言ったのではないでしょうか。
ここで重要なのはロシアの動きです。ロシアはシリアから撤退するとか、そのような報道がなされていましたが、実際にはロシア軍機がシリアに駐留しており、いつでも攻撃できる態勢が整っています。
その中でアメリカのプランBが発動されれば、事態はもう後戻りできなくなります。
有志連合軍や反体制派にも武器供与される(ロケット砲や携帯式ミサイルか?)ということは、単純に考えて地上での攻撃力が向上します。
アサド政府軍はロシア軍の航空攻撃が頼りですから、地上戦では劣勢に追い込まれるでしょう。アサドはすぐさまロシア・イランに反撃要請を行なうものと見られます。


そこで有志連合軍とロシア・イラン軍機の衝突・・・。これまでずっと危惧されてきた第3次世界大戦の様相になってしまいます。
現実に起こりうることなのに、日本は信じられないくらい他人事を装っています。
停戦破棄、和平の崩壊で、より深刻な国際問題になるのです。それに加えて、テロ攻撃にも備えなくてはならない。とんでもない事態です。


私自身の考えでは、アサドは即刻退陣し、新政府移行機関にも関与しないことで全てが解決されると、思っています。
アサドの正当性など、微塵もありません。

▼アサド政府軍が使用した化学兵器の被害

化学兵器


覚えていますか?平和的なデモを武力で弾圧し、2013年8月21日にはダマスカス郊外で化学兵器(国連調査団の発表でサリンと判明)を使用したことを。
アサドは否定していますが、国連調査団はシリア共和国防衛隊の第104師団の基地から発射されたことを明らかにしています。
国際社会は化学兵器の廃棄をアサドに求め、アサドがこれに応じたことから、雲行きが怪しくなりました。
つまり、アサドは国際社会の要請に応えて化学兵器の廃棄を実施した。この化学兵器の問題を取り上げることで、シリア内戦から目をそらせようとしたのです。
そして化学兵器を廃棄し、その責任を果たしたと誇張して、今後もシリアの指導者である正当性を得たと、自負しているわけです。
とんでもない論理ですが、それがまかり通っているのが現状で、反体制派はその部分を許せないのでしょう。


シリアを巡る戦闘で対立する構図をまとめますと、

アサド政府軍-反体制派
アメリカ-ロシア
サウジアラビア-イラン
有志連合(アラブ)-イラン
IS-その他全て
ヌスラ戦線-アサド政府軍、ヒズボラ


となります。単純に考えても混乱することがよくわかります。
そして、もう時間はありません。停戦破棄→和平決裂でアメリカのプランBが実行されれば、ロシアも当然ながら対抗措置を実施するでしょう。
そうなったとき、シリア国民はさらに命を落とすことになります。同時にシリアはさらに荒廃するでしょう。


日本のマスコミ・一部有識者は、戦争を無くそう、難民をどうにかしようと、さかんに言われておりますが、このシリア問題はどうでもいいのですか?
実際に起こっている問題を直視せず、何が平和なのでしょうか。その様な姿勢で平和を勝ち取ることはできるのでしょうか。
よく考えてみて下さい。


参考記事・引用元
AFP
アルジャジーラ
アルクドゥスアル・アラビ
アル・アラビアネット
ウォールストリートジャーナル
アジア経済研究所・ダルウィッシュ ホサム(長期化するシリア内戦-戦闘の激化と和平交渉の課題)


Mitsuteru.O
(日本国際問題マガジン責任者)


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無法地帯のシリアからロシア軍が撤収 和平協議とIS作戦の両立は困難

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ロシア軍航空部隊が、シリアから撤収を始めました。プーチン大統領がすでに主要部隊の撤収を命じていています。
プーチン大統領の発言からは「ロシア軍とシリア軍が国際テロとの戦いの状況を劇的に転換し、和平プロセスを始める条件を整えたため」と説明しています。
その後、オバマ大統領と電話協議をおこない、撤収方針を伝えました。


シリア和平自体は交渉次第で可能では?


シリア内戦でまず言えることは「解決に動き出すまでが遅すぎた」ということ。
アラブの春(独裁政治に嫌気がさしたアラブ諸国の市民が抗議デモを起こした民衆革命)でシリアにも民主化運動が広がったのは当然の成り行きで、その時点で民主国家であるアメリカや日本が働きかけるべきでした。
しかしその反面、中東のこの地域においては民主国家はなじまないのかも知れません。アラブの春の結果、リビヤ・エジプトなどでは政治的混乱と軍事的混乱が両方むき出しになり大変なことになりました。

1

2


エジプトでは軍事政権に舞い戻ったりと、アラブ諸国は一定の権力者が居座って、治安維持に努めたほうが良いという反省も議論されています。
しかし、民衆が求めたことが100%達成しているかは疑問です。
死傷者や難民が出るくらいなら、仕方ないが独裁政治や軍事国家でも構わないという風潮が、ここ最近の中東の空気なのではないでしょうか。


さて、そのシリアではロシア軍の撤退(完全な撤退ではないが)が発表されて、さらに反体制派の代表も出席するということで和平に少しばかり期待感が生まれています。
忘れてはならないのは2014年1月にもスイス・ジュネーブで和平会議が開かれたこと。
この時は一時的な停戦合意が守られたのですが、現在の混乱を見ればわかるとおり、失敗に終わっています。
ちょうどあの頃は、シリア政府や反体制派が化学兵器を使用したのではないか?という情報が交錯し、双方が仕方なく出席する形だったのです。

3


シリア和平についての論点は、今後のシリアの体制をどうするべきか。
ここに焦点を絞れば合意は可能だと思うのです。アサド大統領の処遇、反体制派の主張がどこまで近づけることができるか。元々は5年前に始まった民衆蜂起にアサド政権が弾圧したことが混乱の原因でしょう?
ならば、アサドがやめるか、国際社会の監視の元、アサド大統領に改革を実行させるか。
後者は反体制派が反発することではありますが、これだけの難民を出した責任は反体制派にもあるのです。


シリアを正当な国家に戻す。民主化は無理でも、5年前のような独裁政治はやめて、穏健な開かれた国家にする。
正当な選挙を実施し、インターネットや言論の自由を確保する。武力で弾圧はしない。国際的な当たり前の価値観を共有することが和平への近道だと考えます。


忘れてはならないのは、和平が実現してもそれ以上に大変な課題が残っているということ。
それはISの存在。5年前は存在しなかったこのテロ組織がここ数年で世界中でテロを起こす多国籍テロ集団になってしまった事実はあまりにも衝撃的です。
和平のあとはIS殲滅に向けて、それこそ国際社会が団結しなければならない。そのときはシリアが間違いなく拠点になるでしょう。

IS

IS2


ということは、一刻も早くシリア和平を実現させることが求められます。
和平協議とISとの戦いを両立することは困難です。できるわけがありません。誰がISと戦うのか?
きつい言い方かも知れませんが、ISを間接的に作りだしたのはシリアです。シリア内戦の混乱に乗じてISは台頭してきたのです。
その責任はシリア政府、反体制派にもあるのです。IS殲滅に向けて、国際社会がシリアを拠点にすることはやむを得ません。
そのために和平実現が急がれます。


日本のテレビでこのような議論が見れますか?
遠い中東で行なわれていることだから、興味がなくていいのでしょうか?
このシリア内戦で生み出されたISが、日本にもテロ攻撃を企んでいます。
実際に日本人も殺されている。大変なことです。政治や国際情勢に興味がなくても、シリアの動向はチェックしておいたほうが懸命です。


mitsuteru.O






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混乱のシリア情勢を読み解くには鍵は戦国時代にあり?

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シリア停戦条件で米ロが暫定合意、首都など爆破相次ぎ140人死亡

NHk
 
[アンマン/ベイルート 21日 ロイター] - ケリー米国務長官は21日、ヨルダンの首都アンマンで会見し、シリア内戦の停戦条件についてロシアのラブロフ外相と暫定合意したと明らかにした。

ケリー
 
ケリー長官は「敵対行為の停止に関する条件で暫定的な合意に達し、(停戦が)数日中に開始される可能性がある」とし、「これまで以上に停戦に近付いている」と述べた。
ただ、未解決の問題もあるとし、数日中にオバマ米大統領とプーチン・ロシア大統領が協議するとの見通しを示した。

ロシア外務省も両外相が21日、停戦条件について電話会談したと発表したが、過激派組織「イスラム国」など、国連安保理が「テロリスト」と認定する組織に対する作戦は協議されていないと明かした。

一方、シリア国内ではこの日、爆弾攻撃が相次いだ。英国を拠点とするシリア人権監視団によると、首都ダマスカス南部では複数回の爆発により少なくとも87人が死亡。中部ホムスでは2回の自動車爆弾で少なくとも59人が死亡した。
ダマスカス南部の現場はイスラム教シーア派の寺院がある地区。ホムスの爆発とともに「イスラム国」が犯行声明を出した。


日本から遥か遠い中東の地で、すさまじい戦乱が吹き荒れている。
シリア内戦は和平協議への道筋を付けるために、アメリカ・ロシアによる停戦合意が結ばれる予定だが、一筋縄ではいかなそうである。
直接的な代理戦争とはいかないものの、シリアを巡る戦いは、間接的に米連合軍と、ロシアイラン連合との代理戦争になっている。


中東情勢が世界を動かしている

日本に住む私たちや若い世代には、中東での出来事があまりにも遠い世界で行なわれているように思えて、関心も湧かないだろう。ただ、今や「中東情勢」が世界を動かしている、といっても過言ではないので、無視するわけには行かない。
普段の生活においても、原油の乱高下で、ガソリンや灯油の値段も変わってくるし、ティッシュペーパーの値段も変わる。そして何より、「テロリズム」の恐怖は日本にも押し寄せている。

中東情勢が混乱するか、あるいは落ち着くのか。それによって私たちの生活も大きく変わる可能性があるということを頭に入れておきたい。日本の低レベルなテレビ放送でも、一応TOPニュース扱いで、中東情勢の混乱を伝えている。それくらい、大きな国際問題になっているのである。

かつての戦国時代に似ている?

ところが「やっぱりシリア情勢はわかりにくい」というあなたに、おもしろい例えをお教えしたい。
日本にはかつて「戦国」と言われる時代があった。織田信長や上杉謙信、武田信玄ほか数々の武将や大名が日本を舞台にいわば「内戦」の状態にあった。(この表現は批判を招きそうだが)

誰が天下を統一するか。これをシリアに例えると、誰が内戦後のシリア再建で主導権を握るか。
現在、NKH大河ドラマ「真田丸」で放送されている、織田系家臣と北条のにらみ合いも、アメリカとロシアに例えてみるとおもしろい。見方を変えてみるとニュースの理解度が上がるとともに、興味が湧いてくる。

「歴史に学ぶ」と言えばやや大袈裟だが、過去の史実に照らし合わせて、ニュースを理解できれば歴史の勉強にも、時事問題の理解度アップにもつながる。一石二鳥だ。ぜひお試しあれ。

余談だが、シリア停戦など不可能だと私は思う。アメリカ、ロシアが仮に停戦したとしても、トルコやサウジアラビアなどのいわば「大名衆」と反体制派やISなどの「一向一揆衆」の攻撃が止まる保障はないからだ。
毒ガスなどで大量虐殺を繰り返した、アサドの退陣が無い限り、シリアはロシアの後ろ盾を利用し、混乱の原因になり続けるだろう。


記事・大堂 光輝

 

ウィーン会議 シリア情勢打開へ17カ国が集まる どのメディアより詳しく分析

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シリア情勢の解決へ向けて、オーストリア・ウィーンにて、17カ国の外相級会談が行なわれた。

国際会議でシリア情勢が片付くかは疑問だ スプートニク

国際会議でシリア情勢が片付くかは疑問だ スプートニク


1、公平な選挙実施を急ぐこと
2、シリアが領土の一体性を保つこと
3、省庁や警察などの政府機関の維持
4、国連に対して、宗派的ではない暫定政権樹立の協議の開始のために、政府と反政府派の代表を集めることを要請

などを盛り込んだ声明をまとめ、閉会した。

参加した17カ国は

・アメリカ
・ロシア
・フランス
・ドイツ
・イギリス
・イタリア
・トルコ
・レバノン
・イラン
・ヨルダン
・サウジアラビア
・イラク
・エジプト
・カタール
・アラブ首長国連邦
・オマーン
・中国


日本という貴重なプレーヤーが無視されている

新たなウィーン体制の幕開けか しかしここに日本はいない TBS

新たなウィーン体制の幕開けか しかしここに日本はいない TBS



残念ながら、日本は参加できていない。アジアから唯一、中国が参加していることが少しばかりショックである。

私は、本誌10月21日付け「シリア介入 日本の出番は紛争解決後」にて、シリア情勢における日本の役割を具体的に提案している。

平和構築のための知識は民主主義国家のお手本とされる日本の手法を学ぶべきである。

憲法草案や選挙の実施、あらゆる民主主義のシステムを日本に任せるべきだと提案したが、よりによって民主主義から遠く離れた一党独裁の中国がこの会議に参加しているではないか。

どのような役割ができるかは疑問である。恐らくロシアの打診があってのものだが、それにしても国際社会は日本が重要な役割を任せられた時に、どれだけ役に立つ国家なのか理解していないようだ。

以下に、このウィーン会議に出席した各国代表・および関係者の発言をできるだけ集めてみた。


アメリカ・ケリー国務長官
「アサド大統領退陣を求める、米国の立場は変わらない」

ケリー米国務長官
 
ケリー米国務長官は南シナ海も含めて悩みが多いだろう ブルームバーグ


ロシア・ラブロフ外相
「アサド氏は辞任すべきだとも、アサド氏は留任すべきだとも言っていない。アサド氏の去就はシリア国民が決める、と言っている。シリアの未来はことごとく、シリア国民が決めるのだ」

イラン・ザリーフ外務大臣
 「シリアの将来はシリアの人々によって決定されるべきであり、ウィーンの会合はシリアに責任を設定するためのものではなかった」
「見解の対立もあったが、この会合で、あるグループが最初からアサド大統領の退陣を求めた。イランは最初からこの決定はシリアの人々自身で行われるべきだと表明した」

フランス・ジュベイル外相
「(アサド氏は)政治プロセスで退陣するか、あるいは強制排除させるか、どちらかだ」

中国・陸慷外務省報道官
「中国は一貫してシリア問題の政治的解決に取り組み、国際社会の斡旋を支持している。現在、シリア問題において政治的解決を図る勢いを見せ、関係各国がこれをきっかけに共通認識を拡大するよう期待する」

イギリス・ハモンド外相
「アサド政権への対応を巡る隔たりを埋める余地があるかどうかを見極めるために私たちは集まった。シリアの困難を終わらせるための前進があることを期待している」

EU・モゲリーニ外交安全保障上級代表
「難しいが建設的だった」

見ての通りバラバラだ。うわべだけの共同声明なのはまず間違いない。

やはりカギを握るのは米露の動向だ テレビ朝日
 
やはりカギを握るのは米露の動向だ テレビ朝日


見逃してはならないのは、この声明と同じくしてロシアの航空機がエジプトで墜落。現時点でテロの可能性が非常に高い。
さらに、米軍がシリアに特殊部隊を駐留させるとした。

対話と軍事力を正反対の手法で繰り出す、大国がよく行なうパターンは今でも健在のようだ。


勘違いしてはならないロシアの行動


公平な視点でおさらいしておきたいが、一連の和平会議はロシアが主導したものだ。

どのメディアもこの重要な視点が抜け落ちているが、10月24日の時点でロシアが和平に向けた提案を行なっている。
アラブ圏の新聞、アッシャルク・アルアウサト紙によると、

1、反体制派との停戦
2、シリア政府と反体制派による「和解会議」を開催
3、議会選・大統領選の実施を1年6ヶ月以内に開催
4、軍や政府機関が混乱している場合にはアサド大統領の出馬も認める

などとした提案をロシアはしている。

欧米メディア(当然日本も含む)はこの実態を大きく取り上げていない。

「ロシアは全てが悪である」「ロシアが混乱の全ての原因である」

という論調の元、記事が書かれている。

日本未来マガジンはこうした先入観だけで満たされた記事を書くつもりはない。
それは若い世代に間違った解釈を与えてしまう恐れがあるからだ。

公平・公正に見て、シリア情勢を打開するために積極的に行動しているのはどの国だろうか。

確かに軍事作戦の手法には賛否両論があるのは否めない。
しかし、上記のような和平案を出すなど、関係各国の調整に尽くしているのはロシア側ではないだろうか?

アサド氏の処遇が最大の焦点だ スプートニク
 
アサド氏の処遇が最大の焦点だ スプートニク

 
全て、ロシアが正しいわけではない。

中東への関与を強めて、ロシアの影響力をシリアで保持しておきたいプーチン大統領の行動は、あまりにも露骨だ。

さらにイランをも巻き込み、シリアを舞台にアメリカに負けない外交努力をしようとする行動であることは間違いない。
その先にはEUや日本などによる経済制裁の解除に持っていきたいのだろう。

筆者はそこまで先を読みながら、上記に示した、ロシアの平和的解決に向けた行動を評価しているのだ。

今のところ、シリア情勢の主導権を握っているのは、間違いなくロシア側である。

俯瞰して見れば、よくわかることだ。

この論調は日本のどのメディアでも、ほとんど論じていないので皆さんの参考にしていただきたい。

写真はアサド政府軍 解決する日はくるのだろうか AFP
 
写真はアサド政府軍 解決する日はくるのだろうか AFP
 

記事執筆・日本未来マガジン編集長
藤堂 秀光

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国連が設立から70年 世界一わかりやすい機能不全の理由

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10月24日に、国連が設立から70年の節目を迎えました。

第二次世界大戦の終結後、世界規模の戦争という悲劇を繰り返さないために設立された国連は70年経った今、果たして本来の役割を果たしているのでしょうか?

国際連合は1945年4月から6月にかけて行われた、サンフランシスコ会議において基本的な合意が得られ、加盟国51カ国によって国際連合憲章が採択されました。

国連総会 国連より
 国連総会 国連より
 

その国連憲章にも書かれている、国連の最大の目的は
「国際社会の平和と安全の維持」である。

この国際社会の平和、という言葉。これが実現するまでにどれだけの時間が必要なのでしょうか?

果たして、世の中に戦争が無くなる日は来るのでしょうか?
全人類、民族、国籍、宗教の壁を乗り越えて、世界に平和が訪れることはあるのでしょうか?

国連はその責務を負っているのです。言って見れば世界で最も重要な使命を、事務総長をトップに彼ら、または日本も含む加盟国は果たすべきなのです。


シリア混乱が機能停止に拍車をかけた


9月28日の国連総会で国連のバン・ギムン事務総長は
「安全保障理事会の機能停止によって事態は制御不能になっている」と一般討論演説で述べました。

自らその責任能力の無さを露呈した形になりましたが、世界中の誰もが「国連は機能していない」と思っているのです。

それはシリア情勢の混乱で、安保理の常任理事国である、アメリカ・ロシア・イギリス・フランス・中国の5カ国が一致した結論を出せなかったためです。

シリアは2011年ごろからシリア国内での内戦が激しくなり、シリアのアサド大統領が反体制派(シリア政府に反対する民衆)に武力行使をしたり、人道上絶対に許されない化学兵器を使ったり、国際社会に懸念が広がりました。

シリア内戦の現場 AFPより
 シリア内戦の現場 AFPより
 

そこでアメリカが中心となり、安保理でアサド政権を非難する決議案を出したり、シリアに国連として軍事介入(シリア国民を守るために)をするべきだ、という主張をしました。

しかし、アサド政権を支持するロシアが4回も拒否権を行使し、さらに中国もロシアの考えに同調して安保理での決議が不可能になったのです。

シリアの混乱を収めるために、非難決議や軍事介入をするという、国連の意思(国際社会の意思でもある)が出せない状況になったのです。
これが、いわゆる「国連が機能不全に陥っている」ということなのです。

安全保障理事会の様子 CNNより
 安全保障理事会の様子 CNNより
 

その結果、このままではシリアの混乱が収まらない、さらにはこの混乱に乗じてイスラム過激派のISやアルカイダなどのテログループも活発化している。
この状況に歯止めをかけるために、アメリカやフランスなどが中心となった「有志連合」がシリアの空爆に踏み切りました。

さらにロシアも空爆を開始し、国連安保理で一致することができなかった常任理事国が(中国を除く)独自に空爆を開始する異常事態になっているのです。

以前にもいわゆる冷戦期にソ連(現ロシア)とアメリカが拒否権の応酬を繰り返し機能不全になったことがありましたが、今回のケースは別々に軍事介入をおこなっている。
これは史上稀に見る、とんでもない事態です。国連の存在価値に疑問が浮かぶようなことが、今シリア・イラクを舞台に行われているのです。

しかし、独自に空爆をやらざる得ない状況がシリアにはあったのです。それがISの脅威です。
各国から共鳴する若者を呼び、シリアの地でテロ行為を繰り返しています。有志連合やロシアが空爆を行わなかったら、シリア政府軍とIS・他のテログループの戦争が続いていたわけです。
その結果どうなっていたか。シリアはISの物になっていたかもわかりません。

シリアの安定よりも、ISへの対処。これが大国を動かしたわけであります。


国連軍は一度も実現していない!?


国連が設立して70年。実はまだ一度も「国連軍」というものは実現していないのです。

国連憲章の第7章・43条に、安全保障理事会と国連加盟各国が「特別協定」を結んで兵力を搬出し「国連軍」を創設することができる、とあります。

湾岸戦争
湾岸戦争に派遣された多国籍軍を率いる米中央軍 
写真の中心はシュワルツコフ司令官 2012年に死去した ウォールストリートジャーナルより


国連安保理で採択されたこれまでの強制行動(平和維持のために軍事介入すること)は国連軍ではなく、「多国籍軍」として派遣されたのです。

1950年 朝鮮戦争(北朝鮮が韓国を侵略)
1990年 湾岸戦争(イラクがクウェートを侵攻)
1992年 ソマリア内戦
1995年 ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦

これまでに4度、安保理で一致した決議(朝鮮戦争時にソ連は安保理欠席)がなされたましたが、いずれも多国籍軍という枠組みでした。

それはなぜかというと、冷戦時にアメリカとソ連の2大国が対立していたことから、強制行動に必要な特別協定が結べなかった過去があります。
また朝鮮戦争時にもそうだったように、大国(この場合はソ連)が侵略者としての当事者だったことが最大の原因になります。

さらに解説すると、もともと拒否権とは国連から大国が脱退しないようにするために作られたものでした。
大国に国連への協力を確保するために作られた権利でしたが、実際はソ連のような大国の侵略国が、自ら侵略をしていると認めることはありえないことです。

この場合、拒否権を行使するか、安保理の欠席や棄権をすることになります。

朝鮮戦争の場合、ソ連は欠席して特別協定が結べなかった。
湾岸戦争の場合は、ソ連を含む5カ国が一致して可決しましたが、冷戦期だったためソ連は多国籍軍に参加していません。

なので設立から70年、「国連軍」は実現しておらず、今後もまず実現することはないでしょう。

このように、拒否権が乱発された結果、国連が機能不全に陥っているのです。

日本は今回、非常任理事国になりました。拒否権は行使できませんが、日本独自の安保理決議案を出すことができます。

安保理
 安保理、非常任理事国の改選投票で日本が当選した後、記者会見する吉川元偉国連大使 毎日新聞より


機能不全に陥っている国連を再生させるために、日本が持つ平和理念を、国連の場で十分に発揮すべきだと思います。

日本が非常任理事国として具体的に何をすべきかについては、後日、この日本未来マガジンにて配信いたします。


古川 光輝
政治フリーペーパー「JAPAN IN THE WORLD」
 

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シリア介入 日本の出番は紛争解決後

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シリアを巡る混乱が一向に収まらない状況の中、日本にどのような役割があるのかを考えた。

このことについては後日、論文として発表したいと考えていて、現在は企画・構想中だが、本日、日本未来マガジンに概要だけ触れたいと思う。

シリア内戦 AFP
 シリア内戦 AFPより
 

まず日本が集団的自衛権を行使して、軍事介入(有志連合の後方支援を想定)の可能性があるかどうか。
可能性としてはまずありえない選択肢だが、ここであえて取り上げる。

集団的自衛権の国内議論の中で、エネルギー問題に関する議論がおこなわれた。
中東からの原油輸入に頼っている日本は、もしイランがホルムズ海峡を封鎖したら、原油が日本に入らなくなる。

しかし、現在のイランがホルムズ海峡を封鎖するとは考えられない。
核縮小で欧米と合意し、反米国家だったイランが少しずつアメリカに対して歩み寄りを見せたからだ。

つまり、集団的自衛権の行使要件にはあてはまらない。
もし万が一、海峡封鎖の可能性があるとすれば、ISが支配地域を広げ湾岸地域への脅威が確定したときだ。
ISが例のごとく、原油収入を頼りに海に出るときだ。

しかし、可能性は限りなく低い。よってホルムズ海峡の封鎖が集団的自衛権の行使要件にはならない。


集団的自衛権を行使してシリアに介入する要件とは何か?


それは国内のテロだ。国民の命に危険が生じるタイミングだ。
「存立危機事態」と政府が認定すれば、行使が可能になる。

第一線部隊の攻撃(74式戦車) 防衛省
第一線部隊の攻撃(74式戦車) 防衛省


何度も言っておくが、これは想定である。今後のシリア情勢に日本が介入する余地があるかどうかを考えた結果である。

東京、大阪、福岡など、今や日本は観光立国である。繁華街を歩けば日本人より外国人観光客の方が多い日もある。
実際、大阪のミナミ・キタにはそれこそ日本人の方が少ないのではないか、という盛況ぶりである。

政府も外国人観光客をどんどん増やしていこう、という考え方だ。日本人の生産年齢人口が減少するなか、外需で稼いでいこうという魂胆だ。

ここでヨーロッパに目を向けてほしい。陸続きの国境で、島国の日本との違いはあるが、大量の観光客・移民を受け入れた結果、治安は悪くなり、パリやマドリードなどの大都市でもテロが起こるようになった。
今回、難民を大量に受け入れることによって、テロのリスクが極端に上がるだろう。
ただ単に、難民を受け入れることを美化して、平和に貢献しているという表面上のアピールをしているだけで、メルケル首相もオランド大統領も、心の中では治安の悪化を非常に心配しているに違いない。

話は戻り、日本において難民を受け入れる体制が整っていないことは本誌9月8日付け、「難民問題。浮かび上がるメディアの問題と日本の対応」にて指摘したが、まず大量の受け入れは困難だ。
そこにテロリストが混じっていたらどうなるか。

日本の首都圏でテロが相次げば、日本は「存立危機事態」を宣言する可能性も否定できない。
時の内閣が判断するのだから。

政治の役割は、その時代に合った政策を実行していく。この原則に則れば、時の総理大臣は決断を迫られることになる。

そして有志連合の後方支援。(その時はどのような作戦組織になっているかわからないが)
イラク派遣時のような、燃料補給、さらには新たな任務として武器・弾薬の支援もありえるのではないか。

結論を言えば、日本がイラクの時のような海外派兵をすることは、朝鮮半島、対中国への対応以外にはまずありえない、と私は考える。
ただ、このようなケースも想定しておくべきでは?という提言にすぎません。
それほど、中東への派兵はありえないことだと、私は主張しておきます。


民生支援が最大の武器


日本が国際平和の為に最大限の貢献ができる分野とは何か?

それが民生支援だ。

イラク人道復興支援特措法に基づく活動 防衛省
 イラク人道復興支援特措法に基づく活動 防衛省


日本人は世界でもかなり信頼されている。礼儀正しい、真摯な対応で、日本製品に信頼が厚いのと同じで、日本ブランドの価値はやはり高い。

その日本人が、紛争解決後の国に入り選挙の支援、憲法草案のアドバイザー、政府機関のオブザーバー、教育、インフラ、そしてなにより地元住民の生活を支える、知恵の伝授。
直接、軍事介入をしない日本人がやることに意味がある。その点を地元住民は非常に理解しているものだ。

空爆を繰り返す、アメリカ、ヨーロッパの人たちよりも、日本人の方が信頼されるものである。

日本の自称平和主義者にはこの点に気付いてもらいたい。
日頃から「憲法を守れ」「戦争法案には反対」という割りには、日本が果たすべき国際貢献については語らない。

憲法の存在が戦争を防いできたというなら、その憲法を世界に広める活動を自らやればいいのでは?
ノーベル平和賞だけが欲しいのなら、それは平和主義者ではない。

民生支援には、当然リスクが付きまとう。
いくら紛争が解決したからといって、全く争いが起こらないとは限らない。自衛隊の同行は必要不可欠だし、PKOとして自衛隊も民生支援に動くべきだ。
そこに政府系の団体、NGOなどが入る。目的は安全で平和な政府を樹立させること。

私もそのタイミングになればすぐさまシリアに向かうだろう。食糧支援や住民の生活安定に尽くすつもりだ。
日本政府はこのことを想定しているだろうか。外務省は安全運転に終始するだろうから官邸主導で動いてもらいたい。

今のシリア情勢を分析すると、とても平和への道のりは果てしなく遠い。
シリア国内の問題から、代理戦争に様変わりしたこともあり、今後何年かは終息することはないだろう。

日本ができる役割を世界を舞台に広げていく。
日本が守ってきた平和の理念を世界中に伝えていく。
これが安倍首相の言う、積極的平和主義の答えなのだと思う。

あわせて、こちらも読んでいただきたい。
シリア和平交渉を日本が先導しておこなう、という主張を書いています。

国連PKO工兵部隊マニュアル 東京会合の様子 防衛省
国連PKO工兵部隊マニュアル 東京会合の様子 防衛省
このように日本が先導して、平和への道筋を示す努力をすべきだ。
 

記事執筆・日本未来マガジン編集長
藤堂 秀光

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