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【分析メモ】日本には伝わらない中東の現実

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【情勢分析メモ】
ファイルNo.2-1 中東分析 国際/大阪発/中東の現状


日本のマスコミは国際的な感覚が皆無なので、国際情勢に関するニュース記事が少なすぎる。

特に中東に関するニュースは、処理能力が無いのか、または意図的に載せないだけなのか、はたまた必要ないと思っているかのいずれかだろう。

読者から購読料を取って高い給料で特派員を世界各国に派遣している割には、その情報量が少なすぎる。
今回は日本の大手マスコミが報じない、中東の情報をここで紹介する。

中東情勢は現時点で各国のあらゆる利害が対立する地域である。
そのため勉強する側、国際情勢を知りたいと思う方にとっては絶好の機会なのである。


ロシアとサウジアラビアが急接近?


中東の各メディアが一斉に報じたようだが、ロシアのプーチン大統領とサウジアラビアのサウディ副皇太子(国防相)が会談した模様だ。
当局から漏れてくる情報は極めて少ないが、両者の発言からまとめてみると、

・シリアの将来の政治的解決
・アサド大統領の退陣について
・ISを含むイスラム過激派の排除

以上の点で一致した模様だ。

ここで注視すべきはアサド大統領の退陣に触れたことだ。

ロシアはアサド大統領を支援するためにシリアの反体制派への空爆を始めたのではなかったのか?
欧米のメディア(日本も含む)はそのような論調だった。

しかし、今回の会談を見るとアサド政権擁護のために空爆をおこなっているのではないと、示唆している。
シリア安定のためにアサド政権が絶対必要ではない、というサインを国際社会に送っているのか?(そのサインに日本メディアは気付かないが...。)

いずれにせよ、サウジはイスラム戦線(ISとは別組織)への支援をおこなっているし、ロシアは反体制派への攻撃も継続させている模様。
両者の意図はまだハッキリ見えないので分析を続けるが、今回の会談があったことを頭の片隅にでも入れておきたい。


シリアの混乱がイスラエルにも飛び火


長年、パレスチナとの衝突が続く中東の代表国イスラエルもどうやらシリアからの砲撃に遭った様だ。

13日、ゴラン高原のシリア側から複数の砲弾が飛来してきた模様。
ミサイルまたはロケット砲だったという。

ゴラン高原 GooleEarthより
 ゴラン高原 GooleEarthより


これに対し、イスラエル軍もシリア側の砲兵大隊向けに、砲弾を発射したようだ。

この情報についても極めて限られたものだが、どうやら流れ弾だという観測が強い。
このシリア側から、という情報もISなのか、自由シリア軍なのか、イスラム戦線なのか。まだハッキリとはわからない。

ただイスラエル軍は何者かの攻撃か判断できているからこそ、反撃をしたのだろう。だとすればISなどの過激派の犯行か?
とにかく、イスラエルにもシリア混乱の影がジワリと寄ってきている状況だ。

パレスチナとの衝突が、日に日にエスカレートしていくなかでイスラエルは大変な局面を迎える。


イランがついに地上軍を展開


ビッグニュースが飛び込んできた。
シリア政府筋、イラン政府筋からの情報によると、シリア政府軍、イラン民兵、ヒズボラはロシア空軍の援護の下、アレッポで大規模作戦を計画していると発表。

アレッポ Googleマップより
 アレッポ Googleマップより


アレッポはシリア政府軍、反体制派、ISとそれぞれの勢力が入り乱れて戦闘をしているので、今回の攻撃はISと反体制派へのものだという見方が強い。
そして、すでに作戦は実行されている。

ロシア援護の下進軍するシリア政府軍 AFP
 ロシア援護の下進軍するシリア政府軍 AFP
 

注目すべきは、この作戦にはイラン兵数千名、指揮にはなんとイラン革命防衛隊のスレイマニア司令官!

イランは地上軍の駐留は無いと、外相が明言したわけだが早速この発言が偽りだったことが明らかに。
しかもロシアの援護の下。中東情勢はもう混乱どころの話ではない。

それなのに、このロシア主導による「アレッポ奪還作戦」は日本のマスコミは一切報道しない。
もしかして知らないのでは?またはロシア側による作戦だから報じないのか?これでは読者は真実を読み取れない。

この作戦はすでに実行され、その情報を入手した。

アレッポ戦闘の様子 AFP
 アレッポ戦闘の様子 AFP
 

ハマ Gooleマップより
ハマ Gooleマップより

 
まずはハマ周囲での戦闘では、過去3日間にイラン革命防衛隊の将軍3名が死亡。
先週末にはヒズボラの指揮官も死亡したという。
非常に激しい戦闘だったことは伺える。残念なのは両者の全体的な損失と、戦果は不明な点だ。

また関連する情報では、アレッポの北側でISが進撃しているところを反政府軍が撃退した模様。
ISは多くの死傷者を出し、退却したとされる。


日本のマスコミではもはや限界


何度も指摘するが以上のことは、日本の大手マスコミは一切報じない。
報じたとしても片隅に載せたりするだけで、ニュース番組でもこのテーマに沿った討論も見たことがない。

こんなことで日本人の国際的センスは身につくのだろうか?
このグローバル社会において、日本人が世界のどこへでも行く時代において、そのような閉ざされた報道姿勢でいいのだろうか?

「日本は中東から遠いし」
「日本は関係ないから」

そんなことはない。日本は対テロ戦に多くのお金を搬出しているし、中東の安定のためにかなり関与している。
テロリストから見れば、日本は敵国。

私たち、国民の税金を使って中東の安定の為に巨額のお金を搬出しているのだから、その中東情勢を知ることは国民の権利である。

どれくらい私たちのお金から出た支援は役に立ったのか、平和に貢献できたのか?

国民一人一人がそう思うことが、本当の平和国家の形ではないだろうか?

これからも独自の情報ルートで、必要な分析記事を届けたい。続報にて。


分析者、執筆・藤堂 秀光
情報交換、ご意見、ご感想、執筆依頼などがありましたら、こちらまでお送り下さい。

【分析メモ】シリア安定にアサド政権は必要か

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【情勢分析メモ】
ファイルNo.1-1  シリア情勢 国際/大阪発/対IS戦略とアサド政権


ロシアがシリア領内に空爆開始。ロシアはISの拠点に空爆をしたと主張したが、アメリカはISに向けての空爆ではないと主張。
これはシリア安定のためにアサド政権が必要、必要ではない、という両者の溝から始まった結果と考える。

ロシア国防省より
 ロシア国防省より


シリア安定にアサド政権は → 米は不必要
                → ロシアは必要

シリアは第1次大戦後、フランスの委任統治を受けていた。
アメリカは再びこのシナリオを目論んでいるのか?欧米はアサド大統領の退陣を要求するのなら、かつてのシリアやイラクなどのように「完全統治」が目的となる。

シリアの住民はフランス統治時代のことを覚えているだろうか?
もしそれを意識するのなら、反米路線に切り替わる恐れがある。

アサド政権は意外と国内基盤が強固である。元々、住民の支持は固い。
2014年の大統領選では88,7%の得票率を得て3選された。
この事実をアメリカは十分理解しているからこそ、単独での軍事行動に踏み切れなかったのではないか?

もう一つの問題はシリアに野党勢力がないこと。一連の「アラブ春」では「ムスリム同胞団」が躍動したが、シリアにはムスリム同胞団がいない。

アサド大統領の父親であるハーフィズ・アサド大統領が大量虐殺をおこなった。
1982年にムスリム同胞団が武装蜂起したときのことだ。


シリア内戦の経緯を再確認


シリアはアラブの春の影響から、民主化を求める活動が活発化。
しかし、欧米に支援されたシリア国民連合の統治能力に問題があり、ISやヌスラ戦線らアルカイダ系のテロリストらに混乱の機会を与えてしまう。
シリア国内では少数派ムスリム、キリスト教徒を中心にアサド政権への指示も根強い。
独立志向の高い、クルド人勢力の動きもあり事態は複雑化。

スンニ派住民は自由を求めて「自由シリア軍」を結成。本格的に内戦へ突入。
全ての原因はアサド政権のスンニ派弾圧から始まったものである。

国際社会は国連安保理にて軍事行動発動の議論を開始。
しかしシリアへの影響力を持つ、ロシアが拒否権を行使。国連は機能不全に。

一定の責任を感じるアメリカは「有志連合」と称し、フランスとともに限定的な空爆作戦を決定。さらに中東諸国やトルコまで参戦。
そして今回のロシアの介入に至る。


現時点ではアサド政権の影響力が勝る?


仮にアメリカを含む有志連合がISの支配地域を殲滅し、ISが解体されることになった場合、アサド大統領の処遇はどうなるのだろうか?
ホワイトハウスや各国情報筋にはすでに仮説の段階だが、シナリオが出来上がっているに違いない。
まだ、そのシナリオを発表できる段階ではないし、我々もその情報が入手困難な状況だ。

つまり、それだけシリア情勢は先の読めない事態であることがわかる。
日本のマスコミの情報力では、とても中東情勢を読み解くことはできない。

イスラエル現地からの声では、「イラク、シリアは今後とも予断を許さない状況が続く」「アサド政権はまだ持つのではないか」という見方が根強い。

そもそもロシアも対テロ戦という名目で介入したのだから、有志連合が勝利したとしても、ロシアは「我々のお手柄だ」と主張する恐れは十分にある。
そうなった場合、シリア統治を誰に任すのか?あるいはアサド氏が再び権力の座に着くのか?

本来なら中東の大国であるサウジアラビアやイランが中心となって解決に動きべきなのだが、サウジはISに資金提供していると言われている。
一方のイランは対テロに対して、アメリカと協調する準備があると主張。
ただ、イスラエルの反発によってアメリカも苦しむことは目に見えており、イスラエル対イランの構図がまたクローズアップされてしまう。


和平交渉のシナリオ


まずは各国ともに基本姿勢に帰るべき。共通の敵はテロだ。
IS、ヒズボラ、ヌスラ戦線...。当然ながら国家が安定し、治安が良くなればテロは防げる。

有志連合などという名称も使わないほうが良い。言い方は悪いが、ロシアもシリアの混乱に巻き込むべきだ。
ロシアはアサド政権の延命が最大の目的であり、これを実現することで西側諸国に強烈なインパクトを残そうと企んでいる。
対ISは名目だけ。アサド政権が延命すればそれでいい、とそれくらいにしか思っていないのでは?

そして最悪のシナリオは、ロシアがシリア国内の反体制派に空爆したと、報じられているが、まさかISとの密約など存在しないだろうか、ということだ。
「反体制派を鎮圧するから、ISはロシアを攻撃しないでくれ。そしてアサド政権を延命することに理解を示してくれ」
とんでもない仮説であり、可能性は低いが、相手はロシアである。クリミアさえも軍事力で手にする国家だ。

しかし、ISは世界を厳格なイスラム社会にすることが目的なので、アサド政権を容認することはないだろうし、話し合いに応じるような組織でもない。
だが、有志連合の攻撃から逃れるのであれば、考えられない策ではない。

ロシアを巻き込む。

その意味で、和平交渉を求めたい。
日本、アメリカ、シリア、ドイツ、フランス、ロシア、トルコ、イランの8カ国協議。
国際社会が話し合って、一致した行動を取るべき。
地理的に、イスタンブールやテヘランを想定。

最大のテーマは内戦終結後のシリア統治。
日本が参加する意義はそこにある。内戦終結後の復興だ。PKOで治安維持、民政移管を日本が担う。
かなり高度な任務になる。非常に危険な任務だが、成功すれば自衛隊は民政移管のプロ集団として世界に認められる。
積極的平和主義。平和を世界に広げていく。その考え方に従うなら、このシナリオはベストだ。

そして米露の考え方の違いをいかに埋めることができるか。
これが解決しないと、シリアは永遠に紛争地帯のままになるだろう。

続報をお待ち下さい。


分析者、執筆・Mitsuteru.odo
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