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日本のマスコミの低レベルが露呈?ロシアが日本メディアを批判

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現在、日露当局間では首脳会談に向けての様々な調整で緊密にコンタクトを重ねている。平和条約交渉や北方領土問題についての交渉を高官レベルで続けているのだが、日本ではその報道が過熱して、様々な憶測が飛び交っている。

過熱?というか日本メディアが浮き足立っているかのような印象を受けるが、それについてロシア政府が苦言を呈している。

時事通信、モスクワ発の配信で、 ペスコフ大統領報道官の発言が取り上げられている。北方領土問題をめぐる日本メディアの報道が過熱していることを受け「(領土交渉は)難しく、雑音に耐えられない」と発言。タス通信などが伝えたようだ。

▼ペスコフ大統領報道官
ペスコフ


さらに北方領土共同統治案の検討に入ったとする17日付の一部報道について「朝に伝えられ、その日のうちに日本政府が否定している。何もコメントすることはない」と述べている。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016101900852&g=pol

ロシア側の言い分としては、「北方領土交渉のペースは我々がコントロールする」という意思を持っているのだろう。日本メディアがあれこれ北方の問題を軽々しく語るべきではない、といった感じである。

スプートニクなどはさらに踏み込んでいる。
ますます新しい解決法についての情報が、絶えず現れ、マスコミで大げさな見出しで扱われている。こうした憶測はどの程度正しいのだろうか、ジャーナリスト達は、それによって読者に、一体どれほどの望ましい結果を想像させることだろうか?
https://jp.sputniknews.com/opinion/201610202922176/

確かに日本メディアの北方領土に関する報道はあまりにもお粗末である。日露共同で管理する案だったり、2島返還で落ちつくのでは?といった報道など、あらゆる憶測が飛び交っている。

ロシア政府は日本の浮き足立った空気に危機感を覚えているのかもしれない。日露双方とも歴史的な交渉になるのは必至なのに、マスコミがかき乱す構図は本当にみっともない。

さらに日本学者のドミトリイ・ストレリツォフ氏のコメントとして、
「私には、何らかの突破口的解決策について話すのは早いと思われる。両国の指導者は、密計を保ちながら、しかし表には何も出ないようあらゆることをした。そうしたアプローチは正しい。なぜなら、訪問前に、前もって世論をかき乱すことなど、単に何の意味もないからだ」

スクープ合戦をしている場合ではない。各社の見解を社説や特集で書くだけでいいと思う。ろくに自社の見解を示さずスクープを得るためにセンセーショナルな記事を書くことしか日本の新聞記者には能がないのか?

▼日露首脳 水面下で当局間で緊密な交渉が続いているが...
日露首脳


両首脳による緊密な関係を、日本メディアが壊している。これは正論だと思う。テレビや週刊誌で芸能人のスキャンダルや誰も興味のない娯楽番組を延々と流しているくせに、こうして歴史的な交渉の邪魔をする。

普段からCNNやBBCのように国家の先行きを真剣に考えさせられる番組構成にしているならば、多少の過熱ぶりも納得いくが、現状ではロシアが一枚上手だ。日本は浮き足立っている印象を与えている。静かな環境で両国の交渉を見守るべきだと、私は思う。日本メディアは恥ずかしいレベルである。




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日露首脳は次のステージへ上がれるのか?

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ロシアを動かすのは至難の業


201692日 古川 光輝



安倍首相の本気度



 「問題の前進には首脳同士の率直なやりとりが不可欠だ。首相は強い思いで議論に臨む」

この発言は831日に菅官房長官が記者会見で述べた言葉である。どうやら安倍首相は本気でロシアに向き合っているらしい。


 いよいよ日露首脳会談が行なわれる。安倍首相は、今日(92日)からロシアのウラジオストクで開催される国際経済フォーラム「東方経済フォーラム」に出席するのに合わせて、プーチン大統領と日露首脳会談を行う予定。会談は5月のロシア南部ソチ以来で約4カ月ぶりになる。

日露首脳
 


 前回ソチで行なわれた会談では日本側が新たな経済支援策を提示し、国民を驚かせた。「8項目の経済協力プラン」は日本側が大きく踏み込み、経済協力を機に北方領土問題の解決を目指す姿勢を鮮明にした。今回の会談でも、この8項目の協力プランへの取り組み状況や担当閣僚の新設を伝え、領土問題を前進させるための「新アプローチ」についても意見交換する模様。ロシア経済担当大臣に就任した世耕氏も首脳会談に同席する予定。また、外務当局幹部が同席せず、両首脳だけで通訳を交えて話し合うことも検討していることが明らかになっている。


 まさに安倍首相は本気でロシアと向き合っている。ロシアとの長年の懸念である北方領土問題の解決に向け、安倍首相は電話会談などで積極的にプーチン大統領とコンタクトを重ねてきた。そして12月にはプーチン大統領を安倍首相の地元・山口県に招いて、会談することも決定している

。その際に北方領土問題を含む日露交渉の「成果文書」を発表することも視野に調整しているようだ。


 ちなみにロシアの大統領が日本を訪問するのは、平成2211月に横浜で開催されたAPEC首脳会議の際に、当時のメドベージェフ大統領が日本を訪問して以来のこととなる。



楽観論は禁物



 しかし相手はロシアである。一筋縄ではいかない相手である。これまで日本は何度も痛い目に遭ってきた。そして国際的にもロシアの帝国主義ぶりは一種の恐怖感を与えている。クリミア侵攻は今も記憶に新しい出来事であるし、シリア内戦への積極介入でアサド政権を擁護する姿勢は、国際社会の賛同を得られていない。


 これまでも日本政府やマスコミは、日露関係の改善に期待感を示してきたが、会談や交渉の直前になってロシア政府筋が不可解な発言をし、「交渉は簡単にはいかない」という現実に打ちのめされた経緯が何度もある。

(参考記事 「帝国主義ロシアの北方領土に対する不誠実な対応」)

http://japan-in-the-world.blog.jp/archives/1056829246.html


 例えば今回の首脳会談の前にもロシアはあらゆるところで、日本の出方を探っている。92日のブルームバーグにプーチン大統領のインタビューが掲載されていた。「日本の友人らとこの問題の解決策を見いだしたいと強く望む」と期待感を示した一方で、「ロシアが現在、中国との間で築いているのと同じぐらい強い信頼関係を日本とも構築できれば、われわれは何らかの妥協点を見いだせる」と発言した。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-02/OCUKNS6KLVRL01


 日本が中国と同じくらいの信頼関係で、というのは日本側からすれば不可能である。日本にはアメリカという同盟国が存在する限り、敵対する中国のように対米戦略の一環としての外交戦略は取れない。中国がロシアと緊密に連携する理由は明らかに対米戦略の向上なのである。よってプーチンの発言は、最初からそんなことは不可能だと知りながらの発言なのである。ボールは日本にあるとでも言いたいのだろうか。


 また、ロシアのペスコフ大統領報道官は記者会見で「ウラジオストクで2日に開かれる露日首脳会談でプーチン大統領と安倍首相はクリルについて話し合うが、これは主要テーマにはならない」

と発言。大統領報道官が北方領土はテーマにならないと断言したのは、大ニュースである。これは日本が抱いていた期待感と、楽観論を見事に砕く発言となったのは言うまでも無い。



経済協力とロシアカードは保持しておくべき



 とはいえ日本はロシアとの関係を無駄にしてはならない。アメリカの国際的影響力が低迷するなかで、日本としてもアメリカ頼みの外交に終止符を打たなければならない。ましてやロシアは隣国である。日本は周囲国にロシア、中国、北朝鮮という軍事的脅威を抱える国家と隣同士という現実に頭を抱えている。韓国はアメリカと同盟関係にあるが、日本とは政治的な対立(正直に申し上げれば韓国側が拒絶している)を抱え、真に協力関係を築いているとはいえない。


 日露関係はこのような視点で見れば、改善のチャンスはある。幸いプーチン大統領と安倍首相の関係は良好で、信頼関係がある。このチャンスを十分に生かし、日本外交の選択肢を広げるべきである。


 日露両首脳は北方領土問題を含む平和条約交渉を、今までの発想にとらわれない「新しいアプローチ」で進めていくことで一致しているし、プーチン大統領も前向きな姿勢だ。キーワードはやはり「経済協力」であり、確実に前へ進めて、領土問題につなげたい。


 具体的に考えてみると、主な経済協力のなかでも資源分野での協力が先行して進みそうだ。ロシアの国営石油会社「ロスネフチ」および国営ガス会社「ガスプロム」は、日本企業と、石油およびガスの生産および精製に関する新たなプロジェクトの共同実施について協議している最中である。極東開発で協力することはロシアの政策とも一致するし、強力な「仮り」を作ることになるだろう。


 ロシアのウシャコフ大統領補佐官「独立系天然ガス生産・販売会社『ノバテク』は、日本の『日揮』および『千代田化工建設』の参加を得て、『ヤマルLNG』液化天然ガス工場を建設する。これに続くのがプロジェクト『北極LNG2』。ロスネフチとガスプロムは日本企業と、炭化水素の生産および精製に関する新たなプロジェクトの共同実施について協議している」と述べ、両国の経済協力は確実に実行されていることがわかる。


 しかし油断してはならないのは、中国の存在である。94日に中露首脳会談が予定されており、そこで何らかの新たな締結があると見込まれる。恐らく大規模な経済協力であろう。日本がロシアとの連携を模索していることを、中国も見逃すはずがない。中国は協力な対米戦略のパートナーであるロシアとの関係を非常に大事にしていることがわかる。


 言ってみれば、日米同盟と中露同盟の構図になっているのだが、そこに日本が切り崩しにかかっていくと考えれば、今回の首脳会談は非常に興味深いものになる。中国の焦りも垣間見えるだろう。一方で同盟国の日本がロシアとの接近を試みている現状をアメリカはどう見ているのだろうか。アメリカ国務省のカービー報道官は記者会見で、「日本とロシアが両国の外交関係を検討のうえ、決断したことだ。アメリカ政府が懸念したり心配したりするものではない」

「ロシアのウクライナでの行動やクリミアの併合について、われわれは懸念をしており、今はまだロシアとの関係を通常の状態に戻すべきではないという考えは変わらない」


 様々な解釈が可能な発言だが、アメリカは日本を駒にしてロシアの動きを注視していることは言うまでも無いだろう。日本は軍事的政策を実行できないことで、ある意味で中立的な国家と言えるので、その日本があらゆる手を使い、ロシアや中国へコンタクトを取ることは非常におもしろい。安倍首相はロシア出発前の記者会見で、「胸襟を開いてじっくり話をし、平和条約、領土問題を前進させたい」と決意を述べた。新たな外交カードを手に入れるべく、安倍首相は、プーチン大統領との会談に臨む。



(古川 光輝)
今、世界で起こっていること。みんなで考える。
「NOW! TIMES」



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日露首脳会談 各紙の主張読み比べ

国連総会に出席している安倍総理大臣と、ロシアのプーチン大統領がニューヨークで首脳会談を行った。
両者が顔を揃えるのは、2013年9月以来で2回目の会談となる。

読売新聞より
読売新聞より

その間、様々なことが国際社会を舞台に繰り広げられた。
日本は安倍首相による経済政策で株価の上昇、マクロ的な視点での景気回復。さらに安全保障の枠組みを強固にする法整備を整えた。

一方ロシアはウクライナ領のクリミア半島を武力行使によって支配し、国際社会の批判を招いた。
その結果、日本を含む欧米諸国からの経済制裁を受け、国際社会の監視の目はロシアに向いている。

さらにシリア内戦にも介入し、戦闘機や部隊をシリアに派遣する行動に出た。名目は対テロ戦を目的としているが、アメリカはアサド政権の打倒を目指し、ロシアはシリアの安定にはアサド政権の安定が必要不可欠だという立場を取っている。ロシアは冷戦が終結後も、ある意味キープレーヤーとして国際政治の主役級として大国を演じている。

日本とロシアは正直に申し上げて、良好な関係を築いているとは言えない。
むしろここ数ヶ月の外交情報によれば相当に関係は悪化している。
その中での首脳会談ということで日本やロシアのみならず、国際社会がその動向を注視していた。

その首脳会談を日本の大手マスコミはどう報じ、問題提起したのか。
今回は社説の注目ポイントを一部抜粋してお伝えする。


読売新聞
「首相は「経済協力の準備は建設的で静かな雰囲気で進めたい」と述べた。ロシアのメドベージェフ首相らの北方領土訪問が日露関係改善の障害になるとクギを刺したもので、当然の認識である。」
「ラブロフ外相らが過去の交渉を無視するような姿勢を見せるだけに、日本としては、絶大な権力を持つプーチン氏に直接働きかけることが重要となる」

現在の危機と今後の見通しをスマートにまとめた印象だ。欲を言えば、平和条約交渉を積極的に進めるべきか、慎重に見極めるべきかを明確にしてもらいたかった。
読売新聞としての考えが、まだ一致していないのかも知れない。平和条約に関しては続報を求めたい。

朝日新聞
「内戦の犠牲者や欧州に押し寄せる難民を減らすためには、地域に大きな影響力を持つロシアとの対話が重要な意味をもつ。オバマ米大統領がプーチン氏との2年ぶりの本格的な首脳会談に臨んだのはそのためだが、対立は容易に解けそうにもない」
「ここにきて、ロシアがシリアに積極的に介入しようとする背景には、ウクライナ問題から国際社会の目をそらすとともに、ロシアの発言力を高めようとする意図もうかがえる」

この社説は日露首脳会談のみを扱ったものではないようだ。一連のロシア外交について意見を述べたものと見られる。
まず、ロシアと国際社会の意見が一致していないことはここで再確認することができる。ただ、「ウクライナ問題から目をそらす」という点では疑問が浮かぶ。
国際社会はクリミア紛争を非常に重要視しているし、10月2日にはクリミア和平交渉が行われる。シリア介入はこれを踏まえたもので、ロシアからすればクリミアもアサド政権の維持も、ロシアは国際社会の中心的存在なのだと主張しているのだ。シリア介入がクリミアから目をそらせるという論調は納得できない。
また、シリア介入の問題に触れたのならば、朝日新聞独自の解決策を提示すべきではなかっただろうか。

産経新聞
「対話の継続を困難にしているのはロシア側なのだ。プーチン氏がこうした姿勢の転換を図らない限り、前進はあり得ない」
「首脳会談ではウクライナ東部の停戦状況について話し合ったが、首相はクリミア併合にも言及すべきだった」
「プーチン氏の「年内訪日」を急ぐときではない。領土問題に真摯な態度をとるか見極め、米欧との協調維持が重要だ」

問題提起と書き手の考え方をしっかり主張している印象だ。産経新聞は割と主張をハッキリさせているので賛否両論があるが、プーチン氏の年内訪日についても、「急ぐべきではない」としているし、日露関係の悪化はプーチン氏にあると、明記している。さらにクリミア問題に言及すべき、とした主張はまさにその通りだろう。

毎日新聞は現時点(9月30日)で日露首脳会談の社説を載せていない。

ここで重要な記事を紹介する。ロシアのスプートニクが日露首脳会談について報じている。
ロシアの日本専門家である、アナトリイ・コーシキン氏のインタビュー記事だ。要約して紹介すると、

「日露関係が悪化していることを認める」
「ロシアは平和条約と北方領土を関連付けていない」
「ロシアとしては日本の戦略を理解している。すなわち中国とロシアの接近を懸念していることは理解している」

これはクレムリンの意向を述べていると見ていいだろう。つまりロシアは日本の戦略や外交関係を俯瞰して、今回の首脳会談に臨んだ。そして「様子見」の色合いが濃い会談だったことから、日本の戦略を確かめて次の一手をを探るつもりなのだろう。
さらに重要なのは、「平和条約と北方領土を関連付けていない」という点だ。これがロシア政府の基本的な立場なのだろう。相手の出方次第で交渉術は変わってくるが、こうも露骨にメディアに発信することは、その意思が固い表れなのだろう。


北方領土のみの交渉を


以上のことを勘案して、日本未来マガジンの見解をまとめる。

1、平和条約と北方領土交渉を分けて考える
2、ロシア外交の罠にかからない
3、シリア問題に積極的に関わる
4、日本独自の役割を考える

まず1については先ほど紹介したスプートニクの記事にあるように、ロシアは平和条約を締結した時点で北方領土も解決したと判断する恐れがある。
それを防ぐため、北方領土の返還のみを交渉材料に使う。経済連携や制裁解除のカードもちらつかせながら、交渉を進めるべきだ。
安倍首相とプーチン大統領は、幸いにも比較的良好な関係を築いている。北方領土返還の道筋は、もはやこのタイミングしかないと思う。ロシアは日本の経済支援が欲しくてたまらないはずだ。日本はそのカードを平和条約締結のためではなく、北方領土返還のために使うべきである。

2はロシアの挑発に乗らないこと。ラブロフ外相や、ロシア高官の発言にいちいち反応しない。なぜなら一連の挑発的な発言は、国際社会や日本向けではなく、ロシア国内向けに発するものだからだ。

3については喫緊の課題であるシリア問題に日本がどう関与していくかだ。日本は対テロ戦に直接参加していないが、テロの危険に遭う恐れがあるという、矛盾する状況にある。
そしてシリアという地で、かつての冷戦時のような西と東に分かれて代理戦争をしている場合ではない。このような論調が世界中で駆け巡っているが、とんでもないことである。
テロという共通の相手がいるなかで、なぜ国際社会は一致した行動が取れないのか。そこを追及し、改善しない限り、シリアの安定は望めない。


日本独自のシリア介入シナリオ


最大の問題はアサド政権への対処だ。シリア安定にアサド政権は必要なのか?不必要なのか?欧米とロシアの溝はそこにある。
目的は対テロ戦である。そこは両者も一致している。

AP通信より
 AP通信より

あまり知られていないが、アサド政権は意外と強固な基盤があるとされている。独裁国家ながら国政選挙で選ばれた大統領であり、日本や欧米側が思うとおりに事は進まないだろう。実際そのような状況だ。
国連でシリアへの軍事行動をロシアが拒否権を行使し、欧米は有志連合として空爆を行っている。時間は掛かるものだが、成果は出ていない。
ロシアはシリア安定のためにアサド政権が必要だ、という立場の基、軍事介入の動きを見せている。

日本はどうすべきか?まず自衛隊の派遣は考えられない。
あるとすれば内戦終結後のPKO活動だろう。ここには積極的に動くべきだろう。リベラル派も普段から「世界平和」と叫んでいるなら賛成するだろう。

問題は今できることだ。

和平交渉のかじ取り役はできないものだろうか。何度も言うが対テロ戦が共通の目的なのに、代理戦争をしている場合ではない。
日本、アメリカ、ロシア、ドイツ、フランス、イラン、トルコ、シリアの8カ国でイスタンブールやテヘランで和平交渉はできないか。
これを日本が働きかける。平和外交と胸を張って言えるし、中国、韓国のアジア諸国が対テロ戦に無関心の今、アジアの盟主として日本が動く意味は大きいはずだ。

今回の日露首脳会談は北方領土の解決に向けた強い決意を、安倍首相には語ってほしかった。
また、平和条約と北方領土交渉をセットで考えるのは非常に危険だ。ロシアはそんなつもりはない。平和条約を締結した時点で、北方領土交渉を打ち切る可能性がある。
今後の事務レベルでの協議を注視していきたい。

そして最大の懸念であるシリア問題は、日本が「平和的解決」に向けて関与していくべきだ。
対話によりシリアに安定をもたらし、IS(自称イスラム国)を排除する。日本はその役割を果たすべきであるし、求められているのではないだろうか。

積極的平和主義を標榜するのなら、ぜひ安倍首相にはその名の通り、積極的に平和を勝ち取る努力を見せてほしい。


記事執筆・Mitsuteru.odo
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日本の積極姿勢が求められる日露首脳会談

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9月28日に、日露首脳会談が開かれることが決定した。
ロシアとの間では、プーチン大統領の訪日のタイミングを図っていたようだが、意外と早く首脳会談が実現する予定だ。

先日の24日に谷内国家安全保障局長が首相官邸で、プーチン大統領の側近である、パトルシェフ氏と会談をしている。
ここで首脳会談の主な内容や、事務レベルでの合意内容を確認したと見る。

当然ながら、この会談の内容は表に出てこない。
日本の新聞各社も「プーチン大統領の年内訪日に道筋がつけられるかどうか」
などといった、推測に終始している。

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 AFP

しかしここで鵜呑みにしてはいけないことは、額面通りにこの主張に納得しないことだ。
日露関係が何も進展しない会談など無意味に近い。首脳同士が会うこと自体が重要だという論調があるが、それはあくまで対外的な「印象」を残すことが目的であり、両国の関係が改善することを意味するものではない。

首脳同士が顔を揃えるだけで満足ならば、事務方の協議は不要であるし、わざわざ国連の場で会談をする意味もない。
大手マスコミはこの首脳会談の前に、会談が有意義であるように紙面で問題提起し、機運を高める報道をしてほしかった。
会談は月曜日である。もう時間はない。中身のある議論はしないだろう、とマスコミ各社が思っているのに何も問題提起しないのは、もはやマスコミは機能していないという他にないだろう。


北方領土返還のために強い抗議を


首脳会談で予想される主な議題は、
・北方領土問題
・平和条約交渉の開始
・日本によるロシアへの経済制裁について
・ロシアのシリア軍事加入への懸念
・クリミア半島問題
・プーチン大統領の年内訪日について

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首相官邸HPより

最大の懸念は北方領土問題だ。日本人であるならば避けては通れない、最大の領土問題である。
日本とロシアは1955年の日ソ共同宣言で外交関係を再開したが、北方領土は棚上げ状態であった。
サンフランシスコ講和条約で、日本側の「千島列島は北方領土には含まれない」という主張に対し、ソ連側は「含まれる」と反論したことから、
ソ連はサンフランシスコ講和条約に調印していない。

しかし、幕末にロシアとの間で結んだ日露修好通商条約以来の固有の領土である北方領土は歴史的にも、国際的にも日本の領土であるべきだ。
ロシアはクリミアにも見られるように、帝国主義に基づく実効支配を通じて、主権を獲得する手法が多い。
それはソ連が崩壊してロシアとなったあとも、日露間の外交懸念として、長年続いているのが現状だ。

そして北方領土問題の影響で、ロシアとの間で平和条約が未だに結ばれていないことを忘れてはならない。
日本は徹底して4島返還を主張しているが、ロシアは「平和条約が締結すれば歯舞、色丹の2島を返還する」としており、その結果が日ソ共同宣言なのだ。
つまり北方領土と平和条約はセットなんですよ、とロシアは日本に「エサ」を撒いているのだ。

そんな簡単に物事が進むわけが無い。相手はロシアである。
ここでロシアに関する情報を紹介しよう。

「モスクワの視点によれば、南クリル諸島は第二次世界大戦の結果ロシアに組み入れられたものであり、これを見直す必要はない」
モスクワ国際関係大学国際問題研究所のアンドレイ・イワノフ上級研究員・ロシアの声より

「露日間の現状はいわば「意図的な曖昧さ」の政策だ。何しろこの問題では、いまだにコンセンサスが得られていない」
リョドミラ、サーキャン氏・スプートニクより

前者の記事は完全にモスクワの意図が伝わる内容である。基本的にロシアはこの姿勢で首脳会談に臨むのだろう。
後者の論評は全くその通りだといわざるを得ない。全く交渉は進まず手詰まりなのは明らかなのだから。

日本政府は積極的に北方領土問題を取り上げて、強い言葉を用いて抗議すべきだ。そうでないと中身のある首脳会談にはならない。
北方領土は完全に実効支配されている。ということは日本は取り返す努力をもっとするべきではないだろうか?
もし安倍首相が軟調な言葉で、あまり北方領土について取り上げないのなら、国内の保守派から相当な反発の声が上がるだろう。
28日の会談には、まず北方領土の議題から入ることを日本政府に求める。

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 首相官邸HPより

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首相官邸HPより
 
ロシアはかねてから平和条約締結後に残り2島を返還すると発言しているが、これを鵜呑みにしてはならない。
その条件には日本は簡単に乗らないほうが良い。セットで経済制裁の解除、石油輸入量を増やせ、など条件を付けてくるのは目に見えている。

そして良く考えて欲しい。ロシアは先日シリアに戦闘機や無人機の配備を決定し、完全なる軍事介入を決定した。
シリアに軍事介入しロシアが空爆などの軍事作戦を開始すれば、これまで以上にシリアは大混乱に陥り、さらに難民は大量発生するだろう。
国際社会が一致団結して、難民問題に取り組んでいる中、ロシアの行動が全てを水の泡にしてしまう。

これまでの様な会談内容では、国際社会に何もアピールできない。
日本がロシアに何らかの形で関与する姿勢を見せるべきである。


記事執筆・Mitsuteru.odo
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