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【国内政治】天皇陛下の生前退位の議論が本格的にスタート

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天皇陛下の生前退位などについて検討する政府の有識者会議は、17日、初会合を開き、憲法や皇室などの専門家から、天皇の退位や公務の在り方、それに負担軽減策など8項目について意見を聴取する方針を確認しました。会議では、年明けにも論点整理を行ったうえで来年春ごろの提言の取りまとめを目指して、検討を本格化させるものと見られます。
(NHK)

天皇陛下
 

天皇陛下のお気持ち表明を受けて、有識者会合が発足し本格的に議論が始まる見込みだ。論点整理と提言をまとめあげ、政府・与党は来年の通常国会に法案を提出し、来年内に法整備を完了したい考えだ。

主な論点は以下の8項目となる見込み。
(1)天皇の役割
(2)天皇の公務
(3)公務負担軽減
(4)摂政の設置
(5)国事行為の委任
(6)退位の是非
(7)退位の制度化
(8)退位後の地位や活動

国家の象徴である天皇陛下の退位に関わる問題であるだけに、丁寧に時間を掛けて答えを導き出してもらいたいが、ご高齢である陛下のお気持ちを考えれば国民の理解を得ながら早急に法整備をしてもらいたい。

有識者会合発足の席で安倍首相は次のように述べた。
「陛下が82歳とご高齢であることも踏まえ、どのようなことができるか、専門的な知見を有する方々の意見も伺いながら静かに議論を進めていきたい」
「予断を持つことなく十分審議し、国民のさまざまな意見を踏まえて提言を取りまとめてほしい」

大きく意見が分かれているのは、特例法案なのか、皇室典範の改正なのかである。陛下のお気持ちに早急に応えるべきであるならば、今回限りの特例にすべきである。皇室典範を改正するには多くの時間が必要であり、女系天皇についての議論も必要になる。女性・女系天皇については議論の項目には盛り込まれず、有識者会議では検討されないので、与党は特例法案での法整備を望んでいる。

民進党、共産党は皇室典範の改正が望ましいとしており、国会で議論される内容にも注目だ。どちらにしろ国民世論が大きく分かれる内容にしてはいけない。平和のため、国民のためにこれまで寄り添って下さった天皇陛下がお望みである事柄を、政治が混乱させてはいけない。多くの国民が納得する法整備をするべきである。


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皇室報道のタブーを打ち破れない日本メディアの現状

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天皇陛下

 713日に天皇陛下が「生前退位」のご意向を示されていることがメディアに伝わり、88日には天皇陛下自らがビデオメッセージを発表され、陛下のご意向が正式に示されました。現行の皇室典範では生前退位の規定はなく、法改正、あるいは憲法改正が必要になる可能性が極めて高い問題ですが、天皇陛下のご意向はできるだけ応えなければならない。私の正直な気持ちはこの通りです。


 陛下はこれまでご公務や被災地のご訪問で、多くの国民を勇気付けられてきました。私たち国民は陛下の背中を見て、まさに日本国の象徴、国民の象徴であることを度々実感してきました。その陛下が生前退位を望まれている。それはきっと、元気なうちに次の世代の皇室を見守りたい、そのような温かい気持ちがあるのでしょう。私たちは、それに応えるべく、議論をして、最善の方法を導かなければならないと思います。



皇室に切り込めない日本メディア

鋭く指摘する海外メディア



 生前退位のご意向が伝わってから様々な報道がメディアによってなされています。生前退位のことよりも陛下がこれまで歩んでこられた軌跡を辿り、これからの皇室はどうあるべきか、ということに焦点が移っています。「皇室」の議論はどこかタブー視されることが多いので、各社の考えをストレートに表現することが難しい問題ではあります。そこでよく使われる手法は、海外の事情や海外の有識者の意見を代用することです。そして海外メディアのほうが皇室の問題を鋭く指摘するという少し変わった状況になってきているのです。


 例えば毎日新聞812日付けの東京版朝刊には、(生前退位の)背景には、既成の権威や締め付けから距離を置く現代社会の潮流もありそうだ。伊誌レスプレッソのバチカン専門記者、サンドロ・マジステル氏は「ベネディクト16世の退位は『法王の役割の世俗化』と解釈されている。陛下も今回生前退位の意向を示すことで、より人間的になった。宗教を含め、現代社会は昔よりも『ゆるやか』になっている」と指摘する」http://mainichi.jp/articles/20160812/ddm/002/040/077000c)このようにイタリア紙の記者の言葉を借りて、「陛下もより人間的になった」とまで踏み込んでいます。日本メディアでは絶対に表現できない言葉です。


 ウォールストリートジャーナルの89日付の紙面マイケル・オースリン氏(アメリカン・エンタープライズ研究所日本部長)寄稿記事が掲載されていました。その中で、「戦争の象徴から一転して温和な天皇と見られるようになった裕仁天皇は、戦後の荒廃から劇的な復興を遂げ経済大国となった日本に君臨した。戦争犯罪を認めることは断固避けたが、この問題はその死と共に徐々に薄れていった。そのため日本には共和制を求める運動も起こらず、皇族の特権を減じるよう求める声もない。むしろ皇族はいろいろな意味で国民の模範と見られており、醜聞は避け、文句を言うことなく公務をこなし、極めて統制された環境でのみ姿を現している」と分析し、さらに、「日本の政治家が低迷する国を救うことができない中、権力を持たない君主こそが、近代においてかつてないほど強力な象徴として日本の価値や伝統を代表することになるかもしれない」

http://jp.wsj.com/articles/SB11483107759614144642904582240572956619212)と、日本の政治家への批判も織り交ぜて、やや過激な論調であることがわかります。しかし、現在の皇室のありかた、国民の受け止め方を、正しく認識している記事であると言えます。


 おもしろいのは産経新聞 89付けの配信記事で、「官邸は事前に宮内庁と陛下が読み上げられるお言葉を調整。関係者によると宮内庁が提示したお言葉は「陛下の思いがかなり強く出たものだった」という。官邸は陛下のご意向を十分にくむ考えであるものの、象徴天皇の在り方に関する深い議論もないまま、国の根幹となる皇室制度に関わる事柄への対応を突然迫られていることへの戸惑いも根強い。首相官邸に近い有識者は「自由意思による退位を認めると今後想定できないようなことが起こりうる」と述べ、官邸内の懸念を代弁するhttp://www.sankei.com/politics/news/160809/plt1608090002-n1.htmlと報じ、官邸と宮内庁の間で調整が行なわれていたことを強調しました。皇室制度の議論(例えば女系の継承についての問題など)はここ近年で議論すべきだという空気が日本でも巻き起こりましたが、やはりタブー視された皇室の問題の議論は一向に進みませんでした。この現状に危機感を感じた陛下のご意向が今回伝わったにすぎないのです。政治家や官僚がこれまで真剣に考えてこなかった証拠が、この産経の記事内にあるとおり、「対応を迫られて戸惑っている」という部分に表れています。WSJの指摘も間違いではないでしょう。


 朝日はこの生前退位の問題が、憲法改正に結びつくのではないかと疑問視しています。89日付けの配信記事には、「憲法第2条は「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」と規定。天皇の地位に直結する退位の手続きを皇室典範以外の法律で定めることは憲法に抵触する恐れがあり、内閣法制局幹部も「法律論としておかしい」と指摘する」と前置きしたうえで、「新たな課題が急浮上したことで、政権が取り組む政策の優先順位も見直しを迫られる可能性がある。とりわけ、首相が悲願とする憲法改正への影響を指摘する声がある。ある政府関係者は「生前退位の問題をめぐっては憲法が第1章で定める象徴天皇制の議論は避けられず、いずれ憲法問題になる」と語る」http://digital.asahi.com/articles/ASJ890T3FJ88ULFA029.html?rm=156生前退位を認めるために憲法改正を行なうのではないか、という指摘を言葉を濁しながら表現していることがわかります。「それは絶対に認めない」とは言っていません。それは皇室の問題というタブー視される事柄だからです。大手新聞社が皇室批判を展開することは日本人として品位を問われることになりますから、いくら朝日でも、「生前退位のために憲法を改正することに反対する」とは書けないのです。



全ての日本人に共通すること



 天皇が譲位した最初の例は645年の皇極天皇とされ、奈良時代から江戸時代後半に当たる1817年の光格天皇までは譲位による皇位継承が一般的だったといいます。幕府が存在した時代と、明治~昭和初期(戦前・戦中)の時代、そして現代の皇室のあり方は全く違います。遠い過去に生前退位が認められていたのだから、という議論は拙速です。


 しかし全ての日本人は、天皇陛下のご意向は最大限に尊重するべきでしょう。それは陛下が私たちのために平和を願い、国民に寄り添う姿勢を見せられたことを思えば当然のことです。問題はマスコミの報道であり、課題は政治家の対応です。マスコミは皇室問題をタブー視せず、海外メディアのように意味のある提言をすべきです。現状の日本メディアは国民の議論をリードできないにも関わらず、大手マスコミの影響力を保持しているだけなのです。


 日本がどうあるべきか。その根幹である皇室が今後どうあるべきか。その答えはすぐに導くことはできませんが、国民一人ひとりが真剣に考えなくてはならない問題なのです。



古川光輝

https://twitter.com/mitsuteru1127



 

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