日本は現在、安全保障の観点から見て歴史的な転換期を迎えています。

今回の安保法案の可決・成立を受けて、集団的自衛権の限定容認が法的に認められ、日本の防衛体制が飛躍的に向上しました。


紛争地での日本人救出や、海外での積極的な平和維持活動、そして日本を守るために展開している米軍の部隊や艦船の後方支援など、日本がこれまで不可能と言われていた、懸念材料が見直されることになりました。
歴史の転換期に必要な法案整備をしたに過ぎない
皆さんは今、歴史の転換期に生きているのです。
また、若い世代の読者の方々は、これから生きていく過程において、この安保法案の重要性を身を持って感じるタイミングに、出会うことになるでしょう。
その理由は、現在の国際情勢においても転換期であると考えるからです。
日本周囲を取り巻く環境を、冷静に俯瞰してみて下さい。
中国の軍拡化、韓国と北朝鮮の関係悪化、北朝鮮のミサイル発射の兆候。
海の向こうでは、私たち日本人が知らない世界が広がっているのです。
中東に目を向ければ、テロが頻発するイラク、シリア、イエメン、リビア。
一向に対立が収まらない、パレスチナ問題。
そしてアフリカでは大量に難民が流出する問題。
ロシアの帝国主義化。
いつ日本人が国内でも、海外でも被害に遭うかわかりません。
この状況を見て、本当に心の底から平和な環境だと思いますか?
国際情勢が歴史の転換期にある中で、日本の安全保障体制が転換期を迎えることができた。
この事実は非常に意味のあるものでした。
一部メディアには「安倍首相の悲願が達成した」という論調が多いようですが、それだけではありません。
政府・与党、ならびに国家機関が国民の命を守るために、今必要な法整備をしたに過ぎません。
冷静に国際情勢を見れば、このような結論に至ることができるのです。
世界はどう見たのか

今回の安保法案は国内の対立が、メディアの報道によってビジュアルに伝えられました。
いわゆる「違憲」の議論については学者などの意見も多数にのぼりました。
さらに反対派による抗議デモの様子も盛んに報じられました。というより、まるでそれらの活動を煽るような報道内容でした。
賛成派の学者の意見やデモなどの報道は、反対派のそれらよりもはるかに短い時間での扱いとなっており、よくこれで公正、公平な報道をしていると言えたものです。
日本の国益を損なう、これらの報道に強く抗議したいと思います。
このような経緯もあり、まるで安保法案の議論は国内問題のような雰囲気になっていました。
確かに自分たちの国を守ることについて、すなわち「国防」の議論をしている訳ですから、その意味では国内問題であることは変わりありません。
一部マスコミの偏向報道や反対派のデモのような、「意思のない、中身のない議論」がビジュアル的に伝わってしまい、本来の、「国を守るための議論」では無くなり、ただ、政府と反対派による国内問題に発展してしまいました。
海外から見れば驚きと、日本の言論レベルの低さを実感させてしまったのでないか、と思うのです。
その点では国益を損なった、という見方もできてしまいます。
では世界の主要各国は今回の安保法案の成立をどう受け止めたのか。コメントとともに一緒に考えていきましょう。
アメリカ国防総省報道担当・アーバン中佐の声明
「日本が日米同盟を強化し、地域と国際社会の安全保障に、より積極的な役割を果たそうと努力し続けていることを歓迎する」
言うまでも無く、アメリカは日本の同盟国です。この発言は妥当なものですし、集団的自衛権の行使はアメリカ軍の負担軽減にもつながるため、今回の法案成立によって日米同盟の絆の固さを世界に証明したといえます。ただこのアーバン中佐にはもっと、日本に対して敬意を表して欲しかったと思います。
なぜなら、日本政府は今回の法案成立にどれだけのリスクと体力を消耗したのか。そこを汲み取ってほしいものでした。
中国外務省・ホンレイ副報道局長の声明
「日本の最近の軍事力強化と大幅な安保政策の調整は、平和発展の協力という時代の流れに逆行し、国際社会に日本は専守防衛と戦後の平和発展の道を放棄するのではないかとの疑念を呼び起こしている」
全くの筋違いであると断言しておきたいと思います。軍事力強化ではなく、抑止力の強化を日本はしているのです。なぜ抑止力の強化をしなければならないのか。
それは中国の軍事力強化に脅威を感じているからです。私はこの点については真っ向から、言論の世界で追及していくつもりです。日本の将来が中国の軍拡によって脅かされているからです。
また、ひとつ気になるのは、この報道局長の発言と、日本で行われた反対派のデモで主張する内容が合致する点です。
何らかの影響を受けたのか。様々な可能性を考える必要があります。
韓国・外交省報道官の声明
「日本政府は平和憲法の精神を堅持しつつ、地域の平和と安定に寄与する方向で透明性をもって安保政策を推進することを期待する」
まさに正論を述べた印象です。指摘するような文言はありません。韓国は北朝鮮という世界的に見ても重大な問題を抱えているため、安全保障の分野ではあまり発言力は無いような気がします。しかも日本と同様に韓国もアメリカの同盟国です。朝鮮有事の際には米軍も出撃するわけで、日本の後方支援も必要になるでしょう。
ただ、韓国は70年前の日本への恨みをいまだに持っています。報道されている通り、自衛隊が朝鮮半島で活動することについて懸念を表しています。
それはもう仕方の無いことかも知れません。法的にも、自衛隊は受け入れ国側の承認が無ければ、活動できないのですから。
韓国が自衛隊は来なくていい、と判断すれば自衛隊は朝鮮有事の際も派遣されない。ただそれだけのことなのです。あえて言う必要もないのです。
フィリピン・ガズミン国防相、読売新聞の取材にて
「日本が地域の平和と安全保障の促進に、より積極的な役割を果たすことを可能にする手段が成立したことを歓迎する」
フィリピンも中国の脅威を感じている国の一つです。南シナ海への中国の海洋進出により、フィリピンにおいても安全保障の課題は差し迫ったものがあります。
この点において日本と同じ課題で共有しているので、自衛隊の平和的な活動が広がることを、素直に歓迎したのでしょう。
AP通信・速報にて
「日本は米国や他国と、より緊密に行動できるようになり、ほとんど人道支援に限られていた従来よりも完全な形で国際的な平和維持活動に参加できる」
ニューヨークタイムズ(電子版)
「海外での戦闘任務を可能にし、何十年も続いた自衛のための軍事力の行使という政策をひっくり返した」
次に国際的なメディアを見ていくことにしますが、この代表的な2社を比較してみると、正反対の論調です。
言論の自由は尊重すべきであり、多様な意見がでることは大歓迎です。大事なことはこれらを比較し、見分けられる力を持つこと。
決して、1つの考え方に流されないこと。そのためには様々な意見を読み、聞いて、最終的に自分で考えて結論を出す。そのことを改めて感じられる両者の論調でした。
以上のことを踏まえて、次の報道内容を見て、考えてみて下さい。
英BBC(電子版)
「日本に海外での軍事的役割を認める歴史的動き」
ロシア・タス通信
「自衛隊の権限を拡大するもの」
オーストラリア・ABC放送(電子版)
「日本の国会が自衛隊の海外での戦闘を可能にする平和憲法の変更を可決した」
フランス、ル・モンド紙
「平和主義が終わる可能性がある」
正しい考え方を持つ方法
今後どれだけ世の中が変わっても、言論の力が持つ普遍性は変わりません。日本が民主主義である限り、あらゆる主張が社会に溢れ出るでしょう。
そのなかで正しい主張なのか?間違った主張なのか?
それを見極めるのは、他人ではありません。あなた自身です。
何が正解で何が間違いなのか。それは個人の考え方、思想によって異なります。
しかしそれはあくまで第三者の意見として、取り込んで下さい。様々な意見の中から自分の考え方を導き出してください。
それには、核となる自分の信念が必要です。ここでいくつか例を出します。
「平和」「社会生活の向上」「教育の質」「国際問題」「経済」「消費税」「子育て」「いじめ問題」「高齢化社会」「虐待」...。
政治的な課題は多くありますが、全てをカバーするのは困難な作業です。
ましてや、学生生活で勉強しながら、または社会人として仕事をしながら、恋人や家族のこともあるでしょう。
まずはひとつだけ、自分が興味を持つ分野を見つけましょう。
意外と身近なところに、政治に結びつくものが溢れているのです。
その中で「なぜもっと良くならないの?」「もっとこうすべきだ」と疑問や、要求が出てきます。
そのためにはどうすればいいか。それを様々なメディアから学び取るのです。
新聞、雑誌、書籍、ネット。自分のライフスタイルに合わせた方法で、十分なほどの情報量が手に入る世の中です。


溢れかえる情報の中で、自分の意見を作り上げるには先ほど述べた通り、自分の考え方「信念」が必要なのです。
それをこのブログで身につけていただければありがたいですし、他のメディアからでも構いません。
全ては日本の将来のためです。日本の将来を築いていくのは間違いなく、皆さんのような若い世代の方々なのです。
私たちが暮らす日本が今より、良い国になるには、皆さんの力が必要不可欠です。
「私なんて関係ないから」「どうせ考えても世の中変わらないし」
そんなこと言わずに、少しだけでいいので、まずは政治に関わってみませんか?
恥ずかしいことではなく、逆に尊敬の眼差しで友達から見られるかも知れませんよ。
今回の安保法案は良い意味でも、悪い意味でも、若い世代の方々にとっては印象に残る数週間だったと思います。
この動きを、どう捉えるか。そしてまた新たな課題は、今も次々に出てきます。
このブログを見て、ほんの少しでも興味を持っていただけたら、さあ今日から、動き出しましょう。
記事執筆・Mitsuteru.odo
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コメント
コメント一覧 (2)
「若い世代も政治に興味を持ちはじめた!」
という論調の報道が数多く見られました。
しかし、私は「ただ雰囲気に流され祭りに参加しただけ」の子達をして「政治に興味を持っている」とは、到底、評価できません。
例えばファーストフード店などで、
「ピカソの絵ってマジ意味不明なんだけどw」
「あれって『ド下手』だよね。鼻とか超曲がってるしwww」
みたいな会話を聞いた時に、
「ああ、子の子達は芸術に興味があるんだなぁ」
などとは思いません。
それと同じですね。
今回デモに参加した子達には、大いに反省した上で、改めて政治を勉強してもらいたい。
同時に、今回の話ですら全く興味を持たなかった子達が居るなら、その子達は(反対デモに流された子達よりも)もっと大いに反省し、政治を勉強してもらいたい。
そう思います。
専門家や研究者、教授や官僚など、エキスパートの言論人の方々が詳しいのは当たり前ですが、一般国民、大衆の政治理解度は本当にヒドイ有様です。
これは、教育、政治家、大手マスコミなどに責任があるのですが、ツイッターなどのSNSやネットの普及で、「あれ?なんかおかしいのではないか?」と少しずつ変わってきているのは確かですよね。
今が潮目なのかも知れない。
そう思って今後も、執筆していく次第です。
いつもコメントをいただきありがとうございます。