トランプ米大統領が新たなディールを発表した。長年続く世界で最も解決が難しいとされるパレスチナ問題について、新たな案をイスラエルのネタニヤフ首相が米国訪問中に発表。内容は完全にイスラエルが主張する内容に沿ったものになったが、多額のパレスチナ支援も打ち出している。しかし、国際社会は早くも大反発。両者に納得いく妥協案はこの先見つかるのであろうか。
完全にイスラエル寄りの内容だがパレスチナにもメリットが

トランプが示した和解案は以下のような内容だ。
・パレスチナの領土を倍以上に増やし、アメリカが大使館を置く東エルサレムをパレスチナの首都とする
完全にイスラエル寄りの内容だがパレスチナにもメリットが

トランプが示した和解案は以下のような内容だ。
・パレスチナの領土を倍以上に増やし、アメリカが大使館を置く東エルサレムをパレスチナの首都とする
・イスラエルがヨルダン川西岸地区と東エルサレム、および東部国境沿いのヨルダン渓谷に建設されたユダヤ人入植地を併合
・ヨルダン川西岸とガザ地区を結ぶトンネルが建設
・パレスチナはエジプト国境沿いの南西部の砂漠地帯を獲得、イスラエル西部とヨルダン南部の港湾施設にアクセス可能に
・パレスチナ側に10年間で500億ドル(5兆4500億円)の支援を約束
様々な意味で新味溢れる内容と言っていいだろう。西岸とガザを結ぶトンネル建設や大規模な資金供与を餌にイスラエルの要望を叶えようとする意思が丸見えだが、パレスチナ側も一定のメリットがあるのは否めない。トランプ氏はツイッターでも熱心にその意図を説明している。

(ツイッターでトランプ氏は上の画像を用いて、今回の案の説明を行っている)
早速拒否するアッバス議長と周囲各国の反応
(アッバス議長は「千回でもノーと答える」として完全拒否している」
周囲各国の反応は様々である。まず我が国、米国の最大の同盟国日本は菅長官の発言で、「米国が和平ビジョンを提案したことを契機として、イスラエル、パレスチナ間で直接交渉が再開されることを期待する」と肯定的に捉えている。
直接関与する可能性のある地域の当事者はどう反応しているだろうか。イランは外務省声明で、「パレスチナ人とイスラム諸国に対する『世紀の裏切り』で、失敗に終わるだろう」と批判。トルコの外務省は「2国家共存の原則を葬り、パレスチナ人から土地を盗み取ろうとする計画だ」と支持しないことを表明。
中東戦争の当事者、エジプトは外務省のコメントととして、「和平と対話のチャンネルを開くため、両当事者は米国の提案を慎重、精密に検討してほしい」と答えは濁すも、交渉は継続すべきという立場なのだろう。驚いたのは国連のグテーレス事務総長である。声明で、「国連の立場は長年にわたり、国連安全保障理事会や総会の決議で定められている」としてトランプ氏の案を支持しないことを表明したのだ。そのほか、サウジもヨルダンも否定的で、国連も協力しないのであれば、早くも八方塞がりの状況に陥っているのが本音だろう。
ISがすぐさま反応、攻撃を示唆

様々な意味で新味溢れる内容と言っていいだろう。西岸とガザを結ぶトンネル建設や大規模な資金供与を餌にイスラエルの要望を叶えようとする意思が丸見えだが、パレスチナ側も一定のメリットがあるのは否めない。トランプ氏はツイッターでも熱心にその意図を説明している。

(ツイッターでトランプ氏は上の画像を用いて、今回の案の説明を行っている)
早速拒否するアッバス議長と周囲各国の反応
(アッバス議長は「千回でもノーと答える」として完全拒否している」
周囲各国の反応は様々である。まず我が国、米国の最大の同盟国日本は菅長官の発言で、「米国が和平ビジョンを提案したことを契機として、イスラエル、パレスチナ間で直接交渉が再開されることを期待する」と肯定的に捉えている。
直接関与する可能性のある地域の当事者はどう反応しているだろうか。イランは外務省声明で、「パレスチナ人とイスラム諸国に対する『世紀の裏切り』で、失敗に終わるだろう」と批判。トルコの外務省は「2国家共存の原則を葬り、パレスチナ人から土地を盗み取ろうとする計画だ」と支持しないことを表明。
中東戦争の当事者、エジプトは外務省のコメントととして、「和平と対話のチャンネルを開くため、両当事者は米国の提案を慎重、精密に検討してほしい」と答えは濁すも、交渉は継続すべきという立場なのだろう。驚いたのは国連のグテーレス事務総長である。声明で、「国連の立場は長年にわたり、国連安全保障理事会や総会の決議で定められている」としてトランプ氏の案を支持しないことを表明したのだ。そのほか、サウジもヨルダンも否定的で、国連も協力しないのであれば、早くも八方塞がりの状況に陥っているのが本音だろう。
ISがすぐさま反応、攻撃を示唆

このトランプ案に強く反応したのが、息を潜めていたISである。ISは米軍や有志連合、ロシア、サウジ、イランなどの激しい空爆で一時支配地域を大きく減らしていたが、米イランの一件などで国際社会の対IS戦が緩和されたことで、もう一度息を吹き返そうと企んでいる。
AFPBB News@afpbbcom
イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」は27日に発表した音声声明で、活動の焦点を「カリフ国家」の維持からイスラエルを対象とした攻撃に移行させると警告した。
2020/01/29 01:30:14
https://t.co/oLbGk7pCnM
今回のトランプ案についてインターネット上の声明で構成員や支持者に対し、「ユダヤ人との戦闘を妨げている国境やダムを除去しようとしているイスラム国の戦闘員に合流するよう呼び掛ける」とし、「ユダヤ人との戦闘の先導役となり、世紀のディールのようなたくらみを失敗させよ」と和平を実現阻止を呼びかけている。
イスラエルへのテロ攻撃を示唆する内容だが、果たしてどこまで本気なのは見通しがつかない。散々イスラエルには空爆で痛い目にあったのだから、よりジハードの意識が高まっているだろう。また、バグダディが殺害されたこともテロを起こす容認として頭に入れておかなければならない。指導者や幹部、その家族が殺害されたあとはより大規模なテロを起こす恐れがある。しかもそれは突発的なものではなく、テロ攻撃対象国にテロリスト、または潜在テロリスト(ローンウルフ型のテロリスト)を使い、周到に計画されるものだ。イスラエル国内や米国内、中東各地の米軍基地への攻撃に要注意だ。
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