欧米の仲介は皆無、米大統領選の最中にすべてにおいてロシアが関与

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アゼルバイジャン領ナゴルノ・カラバフ自治州を巡る、アゼルバイジャンとアルメニアの大規模戦闘が完全停戦となった。プーチン大統領が発表し、両国首脳がすでに共同声明に署名、発効した。重要なポイントは今回の停戦仲介に欧米諸国が関与しなかったこと。この手の紛争には常に米国や欧州諸国が関与してきたが、今回はロシアの仲介のみ。この事実はあまり大きく取り上げられていないが、もはや世界は変わりつつあり、欧米の影響力の低下を意味することになるだろう。

今回の紛争で双方に5000人以上の死者を出した。近年では稀にみる大規模な紛争だったといえる。旧ソ連の地域であっただけに、ロシア側のある意味での「責任」があったと思うが、プーチン大統領はこの機会をうまく利用し、ロシアの存在感を示したことになる。

ロシアが今後平和維持部隊を送り込み、停戦を監視することが決まった。トルコもオブザーバーとして参加する見込みで、欧米の関与を排除したロシア、トルコの思惑が一致。欧米の情報収集担当はどう考えているかわからないが、分析が甘かったのかどうかもう一度検証すべきであり、ロシアの思惑通り世界が進んでいるような気がする。ちなみにアゼルバイジャンの大統領補佐官は日本にも関与を求めていたことが明らかになっている。


日本に置き換えて考えるべき。日本にも領有権争いが存在する


アルメニアはこれで事実上敗北したことになる。この敗北はトルコがアゼルバイジャンに協力したことが非常に大きい。最新のトルコ無人機が爆撃を繰り返したという。ナゴルノ領はアゼルバイジャンのものになり、多くの犠牲者を出しながらこのような結果を招いたことに対する市民の怒りは爆発している。アルメニアの国会議事堂には多くのデモ参加者が集まり、国会に乱入し、事務所を荒らしたり、窓ガラスを割るなどの暴動を起こし、国会周囲を取り囲んでいる。





停戦したものの、国内で新たな対立を生むことになった。しかし無理もない。例えばこれを日本に置き換えて考えてみれば、尖閣諸島を中国に占領されて日本政府が何も行動をしなかったら....。間違いなく日本でも暴動が起こるだろう。だからこそこうした海外の紛争を無視してはいけないのだ。あらゆる事例を分析して、日本が万が一の時に対応できるよう他国から学んでおくべきなのである。


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