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フランス大激怒の理由


フランスが怒っている。突然のニュースに驚いた。なぜフランスが怒っているかというと、米英豪の安全保障体制AUKUS(オーカス)発足で、フランスはこれまでオーストラリアと進めていた潜水艦共同開発を一方的に破棄された形になったからだ。

フランスは在米、在豪大使の召還を決定。アメリカからの事前協議の打診もなし。7兆円規模の潜水艦開発、フランスでは「世紀の契約」とも呼ばれた国防プロジェクトは白紙になった。

これはさすがに怒るわな、という内容でフランスに同情せざる得ない。フランスにとっては国防の為に潜水艦が絶対必要か?と言われればそんなことはないが、中国の挑発で脅威にさらされているアジア太平洋におけるフランスの海外領土を守るためには必要になる。

米英豪、そして我が国日本も対中戦略ではフランス、EUともに一致している。その中で納得してもらってフランスを説得するしかない。とにかくAUKUSとEUが揉める状況はよろしくない。そして中国に忠告するが、EUとAUKUSが不仲になった!と思っているなら大間違い。中国がほとんどの全世界があなたたちを敵視していることを忘れないように。

この問題は長引かせないことが重要だろう。中国やロシアに付け入る隙を与えてはいけない。日本は菅政権終焉で、次の総理を選んでいる最中だから今は動けないが、新政権樹立後は米英とフランスの仲介に入ってほしい。安倍首相ならそうするだろう。

しかし現地の風向きはよくないらしい。

BBCのジェシカ・パーカー・ブリュッセル特派員は、フランスのこの件に関する怒りが明確になったため、EUも態度を硬化せているようだと解説。欧州委員会は「分析」の内容について詳細に述べなかったものの、EU・豪貿易協議が延期されるとの憶測も出るかもしれないと述べた。



英・ジョンソン首相は「英仏関係は非常に重要で不滅の関係」と言ってフォローしているが、マクロン大統領は怒っているらしい。
トランプ前大統領のわがままに振り回されて、今度はバイデン爺さんにも振り回されて、「アメリカはなんて国だ!」と怒っていることを想像できる。


中国脅威論を過小評価してきた豪が取った決断


重要な視点はなぜオーストラリアはフランスを斬ったのか。それは言うまでもなく中国の存在である。
フランスとの潜水艦契約よりも新たに発足するAUKUS体制に舵を切ったほうが得策ではないか?
これが答えとして正しいように思える。

オーストラリアは数年前まで親中政権だった。貿易や人的交流がさかんに推進された結果、政府内部や民間企業には中国スパイだらけ。
国防に関わる機密情報などの中国に筒抜け。まさにカネも情報もむしり取られた痛い過去がある。
この過去の経験からオーストラリアは見事に立ち直り、目を覚まし、今アジア太平洋では存在感を放っている。

今の段階では間違いなく米英に付き、対中戦略の一角を担うことが得策である。オーストラリアの決断は正しいと思える。
日本の場合、中国に気を遣ってこのような大胆な改革はできないように思える。頭の固い政治官僚を一喝できる政治家が必要だが...。

最後に記事を紹介するが本当にBBCは良い記事を書いていると思う。

「フランスの懸念をオーストラリアは厳然と無視して行動した。しかし、いざとなれば国というのはそうするものだ。そもそも「国とは」という定義そのものに近い。つまり国とは、自己利益を守るために集まった人間の集団だ。守るべきは、自分たちの利益であって、他人のそれではない。」



つまり自国の領土、国民の命を守るなら批判は覚悟の上で、正しいと思う政策を迷いなく実行すべし、ということ。
日本にはまだまだそれが足りない。つくづくそう思う次第である。

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