プーチンの野望、東部戦線の次は極東戦線ではないだろうか

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(海上自衛隊が誇る護衛艦いずも。いずれ防衛出動で中露と対峙する時が来るかもしれない:防衛省)

連日ウクライナ情勢が報じられ国際世論の関心はウクライナ人の血をいかに止めることができるか。当然ながら我々も考え、選択していかねばならない。しかし、ウクライナで起きている現状は我々日本にも同様に考えねばならない。プーチンは日本固有の領土、北方4島を力づくで占拠しているからだ。

ロシア海軍は大規模な軍事演習に伴い、3月11日にはロシア海軍の艦船10隻が津軽海峡を通過した。
防衛省によると、10日午前2時ごろ、襟裳岬の東北東およそ180キロの太平洋を、ロシア海軍の艦艇10隻が航行しているのを海上自衛隊の哨戒機や艦艇が確認、その後11日にかけて津軽海峡を通過し、日本海に出たというものだ。ウクライナ戦争の真っただ中という事を考えれば異常事態だ。海上自衛隊によれば、ロシア海軍の「ウダロイⅠ級駆逐艦」「ステレグシチーⅡ級フリゲート」など計10隻が航行したという。





津軽海峡は「国際海峡」のため艦艇や船舶の航行は自由だが、これは明らかに日本に対する警告・挑発と認識すべきだ。ロシアに対する経済制裁へのけん制である。さらにロシアは北方4島に進出する国内外の企業に税制優遇をすることを決定するなどして、軍事力と政策面、両方向から北方領土を事実上支配する動きを見せている。

(※国際海峡とは昭和52年に制定された「領海法」で定められており、国際航行に使用される宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡西・東水道、大隅海峡 の五海峡は特定海域として、同海域に係る領海は基線からその外側3海里の線及びこれと接続して引かれる線までの海域とされる:海上保安庁海洋情報部https://www1.kaiho.mlit.go.jp/JODC/ryokai/tokutei/tokutei.html

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日本政府はもちろん「遺憾」の意をロシア政府に伝えたが、本来「遺憾」という言葉は外交上非常に重たい言葉である。だがあまりにも日本政府はそれを乱発するので、もはやいつもの事のように国民には捉えられ、何とも弱腰な印象を与えてしまっている。

もはやロシアの日本に対する動きはウクライナに対するものと同列に考えなければいけない所まで来ているのではないか。領土問題で言えば軍事的背景で併合したクリミア半島と、ウクライナ東部の2州(ドネツク、ルガンスク)を考えれば北方四島も同じことが考えられるのではないか?




中露軍事同盟で北方領土、台湾、尖閣の3方面攻撃では日本は戦えない

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(在日米軍の配置図。まさに中国、ロシアの最前線に位置する日本は相手国からすれば”最優先の攻撃目標である:防衛省)

ウクライナと日本の現状は確かに条件の面では違いがあるし、領土交渉問題だけの話ではない。NATOの東方拡大やプーチンのソ連崩壊後のロシアの威信を回復させる目的があるはずだ。強固なナショナリストであるプーチンが東欧での策略が終われば、次は極東の利権と日本の米軍基地排除を主張するのではないだろうか。

EUとの対立が終われば、次は再び米国と対峙するだろう。しかしかつての冷戦と違い、次は中国を巻き込み、アジア太平洋を舞台にプーチンは新たな新侵略に乗り出す。中露同盟対日米同盟の構図が次の紛争になるのではないか。その発端が北方領土になりかねない。

プーチンはNATOの何が気に食わなかったのか?それはNATOのミサイル配備なども含めた東方拡大である。では極東に目を向ければ米軍基地の最前線は三沢基地か横田基地になる。もし仮にロシアの軍事的脅威が高まり在米軍部隊の再編の過程で戦闘機や艦隊がロシアに近づくとなれば...。さらにそこへ中国艦隊が日本海に航行し始めればまさに”一触即発”の事態である。

日本は現在、敵基地攻撃能力や核共有の議論を行っているが、攻撃されてはじめて「防衛出動」するのが基本的な防衛システムだが、集団的自衛権の行使によってどこまで米国と戦うことができるか、前例がないため未知数である。さらに言えばそのタイミングで尖閣・台湾を同時攻撃されれば日本は戦えないだろう。

まさにウクライナが東、北、南から包囲させつつあるように、日本でも北、南西2方面、合わせて3方面の攻撃が起こりえる事態が将来待ち受けているのである。日本政府はこのシュミレーションをしておくべきだし、影響力のある政治家・専門家は馬鹿でもできる議論などせず、こうした真の意味での国防危機をしっかり国民に周知すべきではないだろうか。一刻も早く日本国民の国防意識を高めるべきである。そして我々一般国民はウクライナの現状をを見て、関心を寄せるだけでなく、自国の問題についても憂慮すべきである。


関連記事:「日本にとって悪夢の中露軍事同盟の可能性」
http://japan-in-the-world.blog.jp/archives/1078316346.html?ref=popular_article&id=6762514-2910690
「中国包囲網は着々と。次はアジア版NATOを。「アジア太平洋条約機構」でどうですか。
http://japan-in-the-world.blog.jp/archives/1078316346.html?ref=popular_article&id=6762514-2910690

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